論説・コラム

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回転窓/「忙」の1年にこそ  [2015年1月5日1面]

 〈復興の魁は料理にあり 滋養第一の料理ははち巻にある〉。水上滝太郎の小説『銀座復興』にそんな一節がある。関東大震災で焼け野原となった東京・銀座に、初めて明かりを灯したトタン小屋の飲み屋「はち巻」が掲げた張り紙である▼小説は、店の客たちの人間模様を交え、復興へと歩み始める街の様子を描いている。昭和初めの作品だが、東日本大震災後に岩波書店から復刻出版された▼今年は終戦から70年、阪神大震災から20年を迎える。戦災も震災も復興を成し遂げるのは人々の力。さまざまな思いを抱えた人たちが集まる居酒屋は、復興を支えてきた貴重な場でもあったに違いない▼そんな居酒屋の魅力を紹介するのが、グラフィックデザイナーで居酒屋評論家として知られる太田和彦氏。自著で『銀座復興』についても書いている。居酒屋では皆が対等で、来ると「店が引き締まる、愉快になる、悪口を言う雰囲気が消えるという人がいる」。それが「酒品」という(『居酒屋を極める』新潮新書)▼建設業は今年も「忙」の1年。だからこそ時間をつくりほっと一息つける店ののれんをくぐりたい。

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