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技能者不足が改善傾向/不足率、4カ月連続前年下回る/確保「困難」予想も低下  [2015年1月13日1面]

建設労働需給調査結果の推移(8職種計)

 建設現場で働く技能労働者の不足が改善してきた。国土交通省が毎月発表する建設労働需給調査によると、主要8職種の技能労働者の不足率は、直近の14年11月で4カ月連続して前年同月を下回った。調査時点から2カ月先の労働者確保を「困難」とみる比率も54カ月ぶりに前年同月の数値を割り込むなど変化の兆しが見えてきた。背景には「賃金の上昇で建設業の雇用が拡大していることがある」(第一生命研究所)との見方も出ている。
 国交省が1979年7月から行っている建設労働需給調査では、労働者を直用する建設業者約3000社をモニターとし、型枠工(土木、建築)、左官、とび工、鉄筋工(土木、建築)、電工、配管工の8職種の技能労働者の需給実績から不足率を算出する。数値が高いほど不足傾向が強くなり、逆に数値がマイナスになると余剰を示す。過去10年間の不足率の推移を見ると、08年1月から10年8月までは32カ月連続のマイナスで、労働力が余っている状態だった。11年も1~6月はマイナスだったが、7月以降は一転。14年11月まで不足状態が一貫して続いている。中でも13年8月~14年3月の7カ月間は2%台と高い数値で推移した。
 11年7月からの労働者不足は、3月に起きた東日本大震災の復旧工事で建設需要が急増したのがきっかけだ。
 長期化する建設投資の低迷で就業者が減っていたところに大きな需要が発生。さらに12年12月の政権交代後は、自公政権がデフレ脱却に向けた財政出動で公共事業費を大きく積み増しした。景気の回復傾向で民間工事が増大したこともあり、労働力の需給ギャップが拡大した。
 国交省は、13年4月に公共工事設計労務単価を大幅に引き上げた際、太田昭宏国交相が建設業界トップに技能労働者の賃金引き上げを直接要請。業界もそれに応じるなど官民挙げた処遇改善が進んできた。同省は、その効果もあって「他業界に転出した人たちが再び戻ってきている」(労働資材対策室)ことが人手不足の緩和につながっているとみている。総務省の労働力調査でも、技能労働者数は12年11月の339万人から1年後の13年11月には345万人、さらに直近の14年11月には353万人まで回復している。
 一方、建設業の有効求人倍率(14年11月)は、全産業の1・04倍に対し、建設躯体工事で7・61倍(同)と高く、人手不足業種の代表格といわれることが少なくない。ただ、公共職業安定所(ハローワーク)には企業が職種を特定して求人を持ち込むのに対し、建設業で仕事を探す人の中には特定職種(とび・土工、鉄筋、型枠など)に絞って探す人は少ない。ハローワークを通さない縁故採用も多いため、統計数字ほどには需給ギャップは大きくないとの指摘もある。

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