論説・コラム

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回転窓/震災遺構と防災対策庁舎  [2015年1月26日1面]

 阪神大震災から20年が経過し、多くの特集記事や特番が組まれた。横倒しになった阪神高速道路、黒煙を上げ燃え盛る市街地…。当時の映像を見てさまざまな記憶がよみがえった。人間の記憶とは頼りないものだ。日常に追われ、目の前のことしか見えなくなる▼東日本大震災から3年10カ月が過ぎた。被災地が最も懸念するのは、時間とともに震災が忘れ去られることだ。鎮魂や災害文化の継承を目的に、宮城県の有識者会議が南三陸町の防災対策庁舎について、震災遺構として「とりわけ高い価値がある」とする報告書をまとめた▼同庁舎ではあの日、津波で多くの犠牲者が出た。町内には「建物を見るだけでつらい」との声がある一方、「犠牲者を追悼する場所がなくなってしまう」との声もある。家族の中でも解体か保存かで意見が分かれるという▼有識者会議は同庁舎について「拙速に結論を出すのではなく、時間をかけて考えることも検討すべきだ」との付帯意見も。地域の思いを大切にしつつ、震災を風化させないためにはどうするべきか▼さまざまな思いを背負ってしまった建物だけに、良い決着を。

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