論説・コラム

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回転窓/風邪、恐るべし  [2015年1月27日1面]

 朝の満員電車で、目の前の7人掛けシートに座る人のうち5人がマスクをしていた。立つ場所を思わず移動したくなる風景である▼人は生涯に200回ほど風邪をひくという。鼻づまりやせき、のどの痛みなどの不快な症状に苦しむ期間を合計するとおよそ5年、床に就く時間は1年にも及ぶというから大きな損失だ。風邪の研究を紹介した『かぜの科学 もっとも身近な病の生態』(ジェニファー・アッカーマン著、早川書房刊)から引いた▼昔から風邪の特効薬を開発したらノーベル賞ともいわれる。他の惑星にロケットを飛ばせる時代に、誰もがしょっちゅうかかるこの病気の薬ができないとは不思議というほかない▼それ故というべきか、風邪には誤解や俗信が随分多いようだ。一つは寒さ。最新の研究によれば、寒さと風邪のひきやすさは無関係らしい。もう一つは免疫力。風邪の症状はウイルス感染に対する炎症反応だから、免疫力を高めると症状は逆にひどくなるという▼風邪をひかないようにする方法が一つだけあるそうだ。それは、世俗を離れて隠遁(いんとん)者になること。できますか? 風邪、恐るべし。

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