論説・コラム

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回転窓/一冊の本をめぐる逡巡  [2015年2月4日1面]

 仕事帰りによく立ち寄る書店でこのところ、ある本を買おうか買うまいか逡巡(しゅんじゅん)している。大量に平積みされたのを一冊手に取って中をぱらぱら。レジに行き掛けてはまた戻り…▼その本とは、昨年来話題のベストセラー、トマ・ピケティ著『21世紀の資本』(みすず書房刊)。既に13万部が売れ、先週にはフランスから著者が来日。講演などをしてニュースになった▼ベストセラーに安易に手を出す軽薄も嫌だが、書店での逡巡の原因はやはりこの本の大きさと値段にある。ハードカバーで728ページ。重さは898グラムと1キロ近い。まるで辞書▼かばんに入れて持ち運ぶにはがさばるし、通勤電車より古色ばんだ書斎が似合う装丁だ。税込み5940円。途中で挫折したら、と思うとおいそれと出せる金額ではない▼本に書いてある詳しいことは、あまたの解説本や書評に譲るが、要は今の資本主義社会では富の集中が起きて格差が拡大するということ。ピケティ氏は講演で経済の専門家と一般の人の間に距離があり過ぎることを問題視したと伝えられる。この本がもう少し手軽な作りなら距離ももっと縮まると思うが。

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