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建設関連各社/トンネル点検・補修需要取り込みへ/通行止め期間短縮や省人化  [2015年2月19日1面]

アキレスの注入材を使った背面空洞の補修工事

 国土交通省が地方自治体にトンネルの5年ごとの定期点検を義務付けたのを受け、需要拡大が見込まれる点検・補修工事の受注を狙う動きが関連業界で活発化している。車の通行を止めず、あるいはできるだけ短い通行止め期間で点検や補修工事ができる技術へのニーズが高いとみられ、新たな点検手法や補修工法の開発に知恵を絞る。業界の大きな課題になっている人手不足に対応し、省力化に重点を置いた技術も続々と誕生している。
 都道府県では、14年度からの5カ年で実施するトンネルなどの定期点検計画の策定が進んでおり、今後、点検業務や補修工事が本格化する見通しだ。国交省も15年度、事業費の補助制度を創設するなどして自治体の取り組みを後押しする。この1年の間にも関連業界からはさまざまな新技術が発表されている。
 東急建設は、トンネルのコンクリート壁の変状を交通規制をせずに打音で高度に自動識別できるシステムの実用化に乗りだした。打音装置が車道側に倒れないよう自社開発の吸着式クローラーを採用し、作業時の安全性を確保する。周囲に車の走行音などがあっても変状を識別できるようにシステムの高度化に取り組んでいる。
 西日本高速道路会社は、点検車両を用いて覆工コンクリートのひび割れを把握する際の画像撮影方法を、従来のハイビジョンカメラからラインセンサーカメラに変更。時速100キロの高速走行でひび割れの自動検出と展開図の自動作成を行えるように改良した。ニュージェックは、産学官連携プロジェクトで開発した走行型計測技術による道路トンネルの点検業務を沖縄県で初めて受注している。
 素材メーカーでも新製品の開発で新たな需要に対応する。クラボウは、コンクリート構造物のひび割れの進行を視認できる樹脂シートを製品化した。シートの変色により、クラックの発生や進行状況がひと目で分かるのが特徴で、正確な点検作業と時間短縮につながる。
 補修工事に関する技術開発も活発だ。熊谷組は、トンネルの覆工背面などにある空洞に流し込んでトンネルの耐久性を向上させる新しい可塑性注入材を開発した。火力発電所から出るフライアッシュ(石炭灰)を使って07年に開発した注入材の混和剤を粉体化し、小規模施工用に袋詰めしたのが特徴。現場で水を加えて混ぜるだけで製造できる。アキレスは冬季でも従来のウレタン注入材と同等の時間で固化する新しい注入材を発売した。
 三井住友建設は、トンネル補修工事向けのライフサイクル管理データベース・マネジメント・システムを構築した。工事の設計・施工情報をデータベース化し、施工やライフサイクル管理にフィードバックするシステムで、タブレット端末に情報を入力するだけで補修工事の履歴データが自動作成される。静岡市発注の工事に初適用した。供用中の道路施設の補修工事は現場条件が厳しく、人手もかかるため、受注しても利益が出にくいとされる。拡大するメンテナンス市場で利益を伸ばすために、新技術の開発余地はまだまだありそうだ。

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