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熊谷組/新型音カメラ開発/前方を効率良く計測、インフラ構造物の劣化診断に応用  [2015年2月24日3面]

マイクロホンを5本搭載

 熊谷組は23日、音を視覚化して騒音の発生源を突き止める音源探査装置「音カメラ」を改良し、インフラ構造物の劣化診断に使えるようにした装置を開発したと発表した。主にコンクリート橋の点検に使うことを想定。周囲の音の干渉を最小限にし、前方の対象を効率よく計測できるようにした。床版表面の浮きや内部に空隙(くうげき)があると、健全状態とは異なる周波数の音が発生し、音カメラで撮影した画像上に色の違いなどで判別できるようにしたという。
 音カメラは、中部電力、山下恭弘信州大名誉教授と共同で07年に開発した。マイクロホンを装備したデジタルカメラで対象を撮影すると、音の発生方向や音量、周波数が画像上に円の位置や大きさ、色で表示される。全方位の音を計測できるが、壁で囲まれた場所では音源から直接届く音と壁で反射した音が干渉し合うなどして音の発生方向を特定しにくい点が課題だった。
 新しく開発した「指向性音カメラ」は、前方にマイクロホンを五つ装備。これまでの一般的なデジタルカメラからハイビジョン仕様に変え、視野角を100度に拡大した。一般的な橋梁であれば、1台で橋脚間の点検を行えるという。計測データを記録しながらリアルタイムで結果を表示できる。表示する音の大きさや高さは任意に選択できるようにした。測定可能な周波数範囲は1000~6500ヘルツ。
 コンクリート床版の試験体を使った室内実験を行い、効果を実証した。ばらつきや見逃しもなく、定量的な評価ができることを確認。開発を指揮した大脇雅直技術研究所顧問は「今後、技術者の減少が進む中、新型音カメラを使えば効率的に点検が行える。人が立ち入るのが難しい場所に有効で、人が行うよりも安く早くできる」としている。開発に当たっては、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」による結果も反映させた。
 国土交通省の調査によると、10年後には全国に約70万橋ある2メートル以上の橋梁の43%が建設から50年以上経過するとされる。そうした橋梁の劣化を点検するツールとして、地方自治体や設計事務所、コンサルタント会社などに積極的に採用を提案していく。

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