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東日本大震災から4年/大手ゼネコン、教訓を研究に反映/免震・制振技術普及に注力  [2015年3月11日1面]

大成建設の大型耐震実験装置

 東日本大震災は、巨大地震による大きな揺れや長周期地震動への対策、天井など非構造部材の耐震化など、建設業界に新たな技術開発のテーマを示す形となった。大手ゼネコン各社は、教訓をいち早く研究活動に反映させるため、研究開発拠点の能力を増強。新技術の開発と普及に力を注ぐ。
 清水建設は東京都江東区の技術研究所内に「先端地震防災研究棟」を新設。今月、本格運用を始めた。さまざまな地震の揺れを再現できる大型振動台と、長周期地震動を3次元で再現できる大振幅振動台を備えた。建物が崩壊するまでの現象把握や、超高層ビル内の設備や家具の挙動把握・対策検討などハード・ソフト両面の研究開発拠点となる。既存超高層ビルの耐震化を進めるため、地震被害を高精度に予測するシステムも開発。予測結果を基に総合的な防災診断につなげ、耐震改修工事の受注拡大を図る。
 大成建設は2月、横浜市戸塚区の技術センターで「大型耐震実験装置」の運用を始めた。震度7の地震で発生する鉛直・水平荷重を再現できるという。超高層ビルの下層階の柱や柱梁接合部などの耐震実験や、橋脚や耐震壁など大断面の構造部材の性能検証・評価に活用する。昨年5月に同センター内に完成したZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)実証棟には「都市型小変位免震」を初適用した。市街地向けの免震構法として普及を目指す。
 大林組が昨年5月、技術研究所(東京都清瀬市)に開設した実験棟「オープンラボ2」は、社内外に「魅せる」実験空間として、プレゼンテーションの場が充実している。中でも「振動体験装置」は目玉の一つ。各種の免震・制振技術を採用した建物の地震時の揺れや、超高層ビルでの地震、風揺れを再現できる。地盤が動いた分だけ建物の揺れと反対方向に動かして揺れを抑える独自のスーパーアクティブ制震「ラピュタ2D」の効果も体験できる。
 開発した免震・制振技術の普及も着実に進む。竹中工務店が野村不動産と共同開発した制振装置「デュアルTMD―NT」が、高さ209メートルの新宿野村ビル(東京都新宿区)の長周期地震動対策に採用された。設計・施工を竹中工務店が担当。16年9月に竣工する予定だ。同社が12年に開発した既存建物の中間階免震改修向け免震装置「プレロード工法」も東京・江東区役所本庁舎や北海道道庁などで実績を重ねる。従来工法と違い、工事フロアを全面閉鎖せずに施工できる点などが評価されているという。
 鹿島は東京・東池袋にある超高層ビル「サンシャイン60」(高さ239メートル)の長周期地震動対策工事を手掛けている。3種類のダンパーを低層から高層階に効果的に配置し、制震性能を大幅に向上させる。16年9月末に竣工する予定だ。3種類のダンパーを組み合わせて超高層ビルの長周期地震動対策を実施するのは国内で初めてになる。

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