論説・コラム

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東日本大震災から4年/復興加速へ独自の対応策/CMやPPP全国に先駆け  [2015年3月11日6面]

復興加速化会議では復興事業を円滑に進めるため対策を話し合った

 東日本大震災の発生から11日で丸4年。東北の被災地では復興事業が佳境に入っている。工事の急増に伴い人手不足や資材の供給難が深刻化する中、国土交通省は復興工事を円滑に進めるため、実勢に合わせて間接費の積算を割り増しする復興係数を導入したり、複数の工事をまとめて大ロット化したりするなど知恵を絞ってきた。民間のノウハウを生かすコンストラクション・マネジメント(CM)方式や「事業促進PPP」などの対策も効果を生み、事業の歯車は円滑に回り始めた。
 震災では、最大震度7の激震と最高高さ約40メートルの大津波が東北を中心とする東日本の太平洋側を襲い、ライフラインや土木・建築構造物などが壊滅的被害を受けた。建設投資が長期にわたり低迷し、建設業界が設備投資や新規雇用を抑制してきた中での大災害とあって、現場には混乱が広がった。復興の過程では事業用地の確保が難航したり作業員宿舎が不足したりするなど多くの障害が発生したが、大きな課題は、労働力と建設資材の不足、それに起因する入札不調・不落の頻発に収れんされた。東北地方整備局はこれらの課題を解消して復興を加速させるため、発注準備から工事着手までの各段階で全国で初となる独自の対応策を矢継ぎ早に打ち出した。
 官民の連携を強化する施策では、大量の復興工事を迅速に執行するため、集団移転などのまちづくりにCM方式、復興道路建設に事業促進PPPをそれぞれ導入。CMは都市再生機構が大規模な造成や住宅建設を包括受注する体制を確立し、宮城県の東松島市と女川町を皮切りに被災地全体に広まった。事業促進PPPは東北整備局が三陸沿岸の復興道路を10工区に分けゼネコンなどの企業体に発注。早い工区では事業化から1年程度で着工するなどの成果を上げた。このほかに官民連携の動きでは、仙台市内で施工確保のための連絡協議会などを定期的に開催。労働力や資材を被災地に十分行き渡らせるための方策をその都度議論してきた。入札・契約制度では、東北整備局が工事発注ロットの大型化や入札時の地域要件拡大、他県の企業を被災地に呼び込む復興JV制度の創設を進めた。14年1月には総合評価方式を二極化するなどの対策を取り、不調・不落件数を大幅に減少させた。
 積算など発注準備の段階では、実勢に合わせた公共工事設計労務単価の大幅引き上げを段階的に実施。請負契約の単品スライド条項の発動条件を緩和したりと受注者の負担軽減に努めた。技能者確保の対策では、専任技術者の配置要件を緩和したほか、請負業者側の事情を勘案して工期延長を容認。資材供給の対策では発注見通しの統合や岩手県沿岸での直轄生コンプラントの稼働、骨材を県外から調達する体制整備などの合わせ技でひっ迫した状況を打開した。対策を打っても入札不調に終わった案件は不落随契を活用して速やかに発注。年度末までに大部分の工事が契約締結にこぎ着けている。東北整備局が昨年4月から12月までに被災3県で実施した直轄工事の入札で、不調の発生率が前年同期よりも10ポイント低い21%になったことが、1月末に開かれた第5回復興加速化会議で報告された。
 震災から2年後の3月5日に行われた同会議の初会合では生コン不足への対応が焦点となり、岩手県内に直轄プラントを新設する方針を決定。7カ月後の第2回会合では復興まちづくりの用地取得を円滑に進めるため、東北整備局が職員を被災自治体へ派遣する方針などを決めた。昨年2月の第3回会合後の記者会見で、加速化会議の開催を主唱した太田昭宏国交相は「被災地の貴重な知恵を受け継いで対応していかなければならない」と述べ、被災地で行ってきた「東北発」の取り組みを全国に広げる必要性を強調した。

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