論説・コラム

このエントリーをはてなブックマークに追加 文字サイズ 

東日本大震災から4年/「復興実感」へインフラ着々/住まいの再建本格化  [2015年3月11日1面]

 1万8000人以上の死者・行方不明者を出した2011年3月11日の東日本大震災から11日で4年を迎える。未曽有の被害を受けた東北の被災地では道路や鉄道など基幹インフラの復旧が進展。津波被害を教訓にした土地のかさ上げや高台移転も形が見え始めた。復興が次の段階へ進む中、国土交通省は各地域の課題を細かく把握しようと自治体や建設業界との意見交換を進めている。集中復興期間(11~15年度)後の財源をどう確保するかも今後の課題だ。
 今月1日、首都圏と東北を結ぶ大動脈の一つ、常磐自動車道(埼玉県三郷市~宮城県亘理町、延長300・4キロ)が全線開通した。福島第1原発事故の影響で工事が遅れていた最後の未開通区間、常磐富岡インターチェンジ(IC)~浪江IC間がつながった。政府はこれを「復興の起爆剤」(安倍晋三首相)と位置付け、物流の活発化や観光振興につなげたい考えだ。沿線では企業誘致への期待も膨らむ。21日には、宮城県女川町の復興まちづくりが待望の街開きを迎えるなど、「復興の実感」(太田昭宏国土交通相)ともいえる動きが出てきた。
 津波被害が大きかった三陸の復興道路、復興支援道路の整備では、国交省が官民連携の「事業促進PPP方式」を採用。「信じられないスピード」(徳山日出男技監)で事業が進む原動力になった。都市再生機構が支援する土地のかさ上げや土地造成などにはコンストラクションマネジメント(CM)方式が導入され、工期短縮などに大きな効果を発揮している。震災発生当時、東北地方整備局長として復旧を指揮した徳山技監は「アイデアとしてあったが、なかなか実現できなかった契約方式などをすべて試させてもらった」と振り返る。
 PPP、CM、一括審査方式、大ロット化…。早期復興という共通目標に向け官民が協力して取り組んだ新たな試みは、災害時に限らず事業の円滑執行に効果を発揮するとみられている。被災地でこれから本格化するのが災害公営住宅をはじめとする住まいの再建や病院、学校などの復興だ。災害公営住宅は、住まいの工程表に基づき、14年度中に約1万戸が完成するところまできている。住宅以外の建築工事も円滑に進むよう、国交省は実勢を的確に反映させる積算方法の普及にも取り組む。
 沿岸市町村がそれぞれ抱える課題を把握し、必要な手だてを講じていこうと、国交省は現在、副大臣や政務官をはじめ幹部が直接被災地に入り、精力的に意見交換を進めている。対象は約30市町村。11日時点で3分の2が終わり、月内にすべての意見交換を終わらせる予定だ。この取り組みを指示した太田国交相は、「産業やまちづくりのあり方を含め、各市町村が復興を進める上でネックとなっていることを解決する取り組みに力を入れていく」と話す。集中復興期間は間もなく最終年度に入る。その後は復興財源をどう確保するかが大きな課題。竹下亘復興相は10日の記者会見で、16年度予算の概算要求を行う8月までに「5年間(16~20年度)の先行きを示せるようにしたい」と述べた。

この記事へコメント

メールアドレスが公開されることはありません。