論説・コラム

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回転窓/病巣は存在し続ける  [2015年3月20日1面]

 「もう」というべきか、「まだ」というべきか-。日本の安全神話を揺るがしたあの事件から20年がたつ。年初に起きた阪神大震災という都市部を襲った未曽有の災害の余韻が残る中での地下鉄サリン事件。カルト教団が起こしたこの無差別テロは世界を震撼(しんかん)させた▼優秀な頭脳を持った若者たちが、なぜ一人の教祖に身を委ね、あのような犯罪に手を染めていかざるを得なかったのか。当時そのことが不思議でならなかった▼事件が起きた1990年代半ばの日本は、バブル景気に沸いた80年代後半から一転し、長期低迷期に入っていた。あれから20年。18日の東京株式市場は日経平均株価が15年ぶりに1万9500円を超えた。主要企業の大幅な賃上げのニュースも相次ぐ▼人々をくぎ付けにした一連の事件に関与した者のほとんどは刑が確定したが、一方で事件の後遺症に苦しむ被害者も依然少なくない。看板を掛け替えた教団もいまだ世間を騒がせている▼経済が回復しても、社会の病巣がすべてなくなるわけではないことは日々のニュースを見れば明らかだ。好調に浮かれず、常に「闇」にも目を向けたい。

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