工事・計画

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東京都内の開発事業-着工ずれ込み相次ぐ/施工者決まらず、計画見直しも難航  [2015年5月1日1面]

国際医療福祉大学の新キャンパス計画地(東京都港区)。解体から半年たつ今も更地の状態が続いている。

 東京都内で計画されている市街地再開発事業などの大規模建築プロジェクトで、建物の着工時期を遅らせる事例が目立ってきた。ここ数年の労務費・資材費の高騰によって建設コストが急上昇した影響で、着工を目前にして施工会社と工事費の折り合いがつかなくなるケースが増えているようだ。市街地再開発事業では、事業計画の見直しで地権者の合意形成が難航する事態も起きている。
 国土交通省の推計によると、東京では集合住宅(RC造)の建設コストが12年9月からの1年間で5・3%、13年9月からの1年間で11・7%上昇した。デベロッパー関係者の間では、今年に入ってから上昇傾向は収まったが、今後も高止まりが続くとの見方が大勢を占めている。
 港区の旧区立赤坂小学校跡地を含む土地で計画されている国際医療福祉大学の新キャンパス整備事業は、昨年11月に既存建物の解体工事が完了したが、その後半年近く本体着工に至っていない。当初計画では延べ約3・9万平方メートル規模のキャンパスを17年1月に完成させ、同4月に開校する予定だったが、関係者によると「建築費高騰の影響で(施工を担当する)建設業者が決まっていない」という。今後の動向次第では、開校までのスケジュールを変更する可能性もある。
 市街地再開発事業にも影響は広がっている。当初は3月の着工が予定されていた「春日・後楽園駅前地区第一種市街地再開発事業」(文京区)は、権利変換計画の策定手続きが遅れているとして、ここにきて事業スケジュールを見直した。現在は8月の権利変換計画認可、9月の再開発ビル群の着工を目指している。同事業を進める再開発組合によると、組合設立時(12年3月)の事業計画では総事業費を755億円と見込んでいたが、建設コスト高騰の影響を受け、昨年秋に1100億円に変更した。これにより、事業完了後に地権者が得る権利床の価格を高くせざるを得ず、合意形成が難航する一因となった。権利変換計画が認可されればすぐに施工者を決める入札を行う予定だが、組合関係者は「建築費の上がり方は落ち着いてきたものの、(ゼネコンとの契約がまとまるか)不安はある」と明かす。
 国もこうした事態を重く見て、14年度で終了する予定だった市街地再開発事業への支援策を延長した。支援策は、13年度補正予算で「都市・地域再生緊急促進事業」の交付金の中に設けたメニューの一つ。工事費増額分のうちエントランスホールなど共用施設の整備費に対し、通常の交付金に上乗せして補助を行う。建設コストをめぐる状況が改善しないため、適用条件としていた今年3月末までの着工期限を1年延ばした。これを受け、春日・後楽園駅前地区第一種市街地再開発事業では、権利変換計画の認可後に交付金の申請を行う予定だ。
 このほかにも、既に権利変換計画が認可されながら着工時期がずれ込んでいる「西品川一丁目地区第一種市街地再開発事業」(品川区)、「浜松町一丁目地区第一種市街地再開発事業」(港区)など複数の再開発事業が、早期着工に向けて交付金の活用を想定している。

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