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金融庁/電子債権決済、公共事業での活用検討/受注企業の資金繰り円滑化期待  [2015年5月12日1面]

 電子債権による決済が建設分野で進む可能性が出てきた。金融庁が、国や地方自治体などの公共事業の支払いについて、電子記録債権を活用するための検討に着手するためだ。インターネット上でやり取りする電子債権は、手形に代わる決済手段として、東日本大震災の復興事業に利用されているほか、一部ゼネコンで活用に乗りだす動きもある。公的機関の支払いへの活用が進めば、受注企業の資金繰り円滑化への効果も期待できそうだ。
 金融庁は4月28日、金融審議会に設置された「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」(座長・岩原紳作早大大学院法務研究科教授)が決済業務などの高度化について審議した結果を中間整理として発表した。この中で示された一つの課題が電子記録債権の活用。手形債権などとも異なる電子記録債権は、手形の保管コストといった課題を解消し、事業者の資金調達の円滑化を図る目的で制度整備が行われた。ただ、全国銀行協会が運営する電子債権記録機関「全国電子債権ネットワーク」(でんさいネット)でも、1カ月当たりの請求が約8万件と目標の10万件を下回っている。このため中間整理では、現在活用されていない公的機関の支払いに電子記録債権を使うことができれば、「資金繰りの円滑化とともに、電子記録債権の普及促進に効果的」と指摘。そのための検討を進めるべきだとしていた。
 ネット上で債権をやり取りする電子債権は、手形と異なり印紙税がかからないなどのメリットがあり、債権を受け取った企業も現金化しやすい。建設業界では、熊谷組が13年11月、他のゼネコンに先駆ける形ででんさいネットの本格的な運用を発表。「取引先に多くの中小・零細企業を持つ建設業に適している」としていた。東日本大震災の被災地復興でも、三菱東京UFJ銀行と三菱総合研究所が女川町復興公営住宅建設推進協議会に対して、電子記録債権を活用して構築したスキームに基づく支援に取り組んでいる。金融庁では今後、スタディ・グループをワーキング・グループに発展させ、電子記録債権の普及策の一つとして、公共事業など公的支払いを視野に入れた仕組みの検討を進める。契約上、債権譲渡には発注者の承諾が必要とされる。

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