論説・コラム

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回転窓/新国立も生みの苦しみか  [2015年8月5日1面]

 米国を代表する土木構造物の一つであるニューヨークのブルックリン橋。マンハッタン島とブルックリン区をつなぐこの橋は、今から132年前の完成当時、世界最長のつり橋だった▼渡りながらマンハッタンの摩天楼を一望できる観光名所として世界中の人々を引き付け、数えきれないほど映画の舞台にもなった。土木の世界では、建設時に困難を極めた橋としても知られる▼完成までに要した歳月は14年。建設コンサルタンツ協会発行の協会誌(266号)によると、この巨大事業に対する当時の世論は厳しく、計画を「夢物語」と非難する声も多かったという▼同じ国家的モニュメントでいえば、オーストラリア最大の都市シドニーのシンボル「オペラハウス」も世論の逆風の中で建設された。独創的なデザインから建設費が当初予算の14倍まで膨らみ、責任者は更迭されたが、2007年には「人類の創造的才能を表現する傑作」として世界遺産に登録された▼国を象徴する構造物は、必ずと言ってよいほど生みの苦しみを伴うようだ。新国立競技場の建設計画はまさにその真っただ中にあるのかもしれない。

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