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おもてなし-拡大するホテル市場・4/三井不動産・鴉田隆司ホテル事業部長  [2016年5月27日4面]

鴉田隆司ホテル事業部長

東海地方初出店となる「三井ガーデンホテル名古屋プレミア」の完成イメージ。9月16日にオープンする。

 ◇商品企画を多様化/レジャー・海外客の取り込みに注力
 ホテル運営を手掛ける子会社を通じ、独自のホテルブランド「三井ガーデンホテル」を展開している三井不動産。昨年5月に策定した中期経営計画では、2020年度までに客室数を現在のほぼ倍に当たる1万室規模まで拡大するという意欲的な目標を掲げた。鴉田隆司ホテル・リゾート本部ホテル事業部長は、今後は客層の多様化に応じた魅力的な商品企画が必要だと強調する。
 --ホテル事業を取り巻く環境は。
 「この10年間、リーマンショックや東日本大震災で厳しい時代を経験した。それが今では、国のビジット・ジャパン・キャンペーン、さらにアベノミクスの影響でリーマンショック前を超えるほど事業環境が改善してきた。厳しい時期に運営面の効率化や販売体制の強化など事業基盤の整備に取り組んできた成果が出ている」
 「ターゲットとする客層も変わってきた。かつてはビジネス目的の宿泊客が7割程度を占めていたが、今はレジャー目的が半分以上に達している。海外からの宿泊客も急激に増えている。東京・銀座の『ミレニアム三井ガーデンホテル東京』(14年12月開業)は最も多い時期で7~8割に上っている。(レジャー客の割合が多くなっているため)手荷物が想定以上に増え、預かりスペースの確保に困っているほどだ」
 --三井ガーデンホテルの特徴は。
 「ビジネスホテルとシティーホテルの中間のカテゴリーに位置付けている。先進的な設備は宿泊客の満足度も高い。レジャー客や海外客を意識して部屋の広さに余裕を持たせたり、外観・内装デザインを工夫したりして商品企画の多様化を進めている。数年前からは女性客の取り込みにも力を入れてきた。水回り設備の充実や宿泊者専用ラウンジの設置で宿泊客の快適さを追求している」
 --どのように他社と差別化する。
 「ホテル専業の会社ではないため、ホテルに対する既成概念が無い。住宅事業や商業施設事業などで培った知恵や工夫をホテル事業に落とし込んだらどうだろうかと日々考えている。全社で得られた用地情報が共有化されていることも強みの一つ。その情報収集力を生かしたい」
 「(地価の高騰や適地の減少で)土地を入札で取得するのは難しくなっているが、何も土地取得にこだわっているわけではない。借地もあれば、マスターリース(建物を一括賃貸してのホテル運営)もある。ビルのオーナーに土地の有効活用手段として提案するケースも多い。再開発案件が多いこともわれわれの特色だ。ミクストユース(複合用途)の一つとしてホテル機能が求められてくる」
 --今後の事業展開の方向性は。
 「東京や京都などに重点的に出店しながら、地方の核となる都市や文化・歴史がある都市で出店を検討し、全国的な展開を目指す。これまで進出していなかった東海地方では、9月に『三井ガーデンホテル名古屋プレミア』が開業する」
 「主力ブランドの三井ガーデンホテルとは異なる上級クラスの新ブランドの立ち上げも検討中で、現在コンセプトを練っている。東京・銀座で初弾物件の建設を進めているほか、京都でも新ブランドを採用するホテルの開発を計画している」
 「ホテル事業に限らず、あらゆる業種で今後は国内需要が伸び悩むとみている。アクティブシニア層が増えていると言われているが、それだけでレジャー人口が大きく増えるとは考えていない。そうなると、やはりインバウンド(訪日外国人旅行者)の増加が今後の鍵を握るだろう。景気変動の波にいかに耐えていくかも頭に入れながら事業展開していきたい」。
 (ホテル・リゾート本部、からすだ・たかし)

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