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熊谷組/トンネル掘削後のグラウチングで大量湧水低減/極超微粒子セメント注入  [2017年1月25日3面]

地山改良ゾーンの鳥瞰図

 熊谷組は24日、鹿児島県で施工した山岳トンネル工事で、自然由来のヒ素を含む大量湧水の減水対策にダムの基礎工事で使われるグラウチング技術を適用した成果を発表した。トンネル掘削後に、浸透性に優れた極超微粒子セメントを地山に注入して改良。延長100メートル区間の透水係数を40ルジオンから0・4ルジオンに下げ、1時間当たり最大300トンあった湧水量を40トン以下に低減できた。
 対象工事は鹿児島県からJVで受注した「北薩横断道路北薩トンネル(仮称)」の出水工区(出水市、工区延長約2・6キロ)。掘削幅約12メートル、高さ約7・6メートル、断面積約78平方メートルの規模で、工期は09年3月16日~14年12月4日。減水対策工は別途発注され、16年10月31日までに完了させた。
 今回の工事では、掘削中に1時間当たり最大1200トンの大量湧水に見舞われ、貫通後も恒常的に約600トンの湧水が発生した。その上、坑口から1500~2200メートル区間は、高濃度のヒ素を含有した湧水を確認。中でも坑口から1800~1900メートルの100メートル区間は、花こう岩と四万十層群の境界で亀裂の発達した低速度帯に相当して区間湧水が多く、ヒ素濃度も高かった。
 環境対策基本法で定められたヒ素濃度にして河川に排出するためには、湧水を減らす必要があると判断。掘削完了後にトンネル周囲の地山を厚さ3・0メートルのリング状に改良した。
 トンネル掘削前に、これから掘削する岩盤の割れ目に薬液を注入して地山を固めるプレグラウチング工法は一般的だが、掘削後に地山を改良するポストグラウチング工法の施工事例は少ない。
 このため、ダムのグラウチング技術に基づき入念な試験施工を実施し、最適な注入パターンや注入仕様などを決定。注入材料は、通常のグラウチングで使用される高炉セメント(平均粒径10マイクロメートル)や超微粒子セメント(同4マイクロメートル)よりさらに浸透性に優れたセメントとして、日鉄住金セメントが新開発した極超微粒子セメント(同1・5マイクロメートル)を採用した。
 施工後の湧水量の低減に加え、地下水位も回復し、減水対策工の有効性を確認した。手塚仁土木事業本部トンネル技術部長は「トンネル工事の減水対策工に極超微粒子セメントを使い、ポストグラウチングでこの規模を改良したのは国内初」と話す。トンネル建設工事で大量湧水や地下水位を下げられないケースの対策工として、今回の技術を適用していく。

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