BIMの課題と可能性・181/樋口一希/IM&VRソリューション・4

2017年6月15日 トップニュース

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 フォーラムエイトのBIM/CIMソリューション・プラットフォーム「IM&VR Solution」の中心に位置するBIM/CIM対応3次元建築土木CAD「Allplan」について概説する。


 □「Architecture(BIM:建築)」「Engineering(CIM:土木)」をシームレスに統合運用できる優位性□


 「Allplan」は、BIM/CIM対応と明示しているように、建築設計用「Allplan Architecture」と建設土木・RC構造物設計用「Allplan Engineering」から構成される。パッケージ単体の購入はもちろん、セットではリーズナブルな価格設定となっており、BIM/CIM導入を視野に入れるユーザーにとってはメリット大だ。

 開発は、ドイツのNemetschekグループが行い、フォーラムエイトが国内向けローカライズ、販売・サポートを行っている。Nemetschekグループは傘下に「Graphisoft、Vectorworks、Data Design System、SCIA、Maxon」など11ブランドをもち、世界的な規模でAEC(建築・エンジニアリング・建設)業界をリードする建築・エンジニアリング・建設業界のリーディング・ソフトウエアプロバイダーだ。


 □共通運用できる基本機能と「Architecture」「Engineering」で個別運用できる独自な機能装備□


 ◇共通基本機能

 ・インターフェイスのカスタマイズ  アイコン表示の有無・表示位置の変更など使い勝手に合わせてツールパレット・ツールバーを設定可。高機能なスナップツールを備えた作図カーソルによって作業効率も大幅に向上。

 ・3次元モデリング+2次元図面描画

 繰り返し利用する部材を定義して3次元モデル構築ができるスマートシンボル機能など、作図効率アップのための機能を装備。自動的に寸法線・寸法値を付加した任意の断面図切り出しなど精度の高い2次元図面を描画。2次元図面上で外部ファイルを参照できるXRef機能も装備。

 ◇「Architecture」=高機能オブジェクト

 手すり、ファサードなど豊富なテンプレートが用意され、幅広いデザインに対応。カーテンウォールやガラスブロックなどさまざまなパターンを備え、テンプレートの編集により複雑な形状も3次元画面やアイソメトリック図でオブジェクトの形状を確認しながら入力・編集できる。

 ◇「Engineering」=鉄筋の加工・配筋機能

 鉄筋形状を指定・配置することで棒鉄筋の配筋図を作成。主要な鉄筋形状データを備え、任意の形状の生成や配筋後の修正も容易。事前に用意した配筋パターンを利用、FFコンポーネント機能を使えば、より効率的な配筋図の作成が可能。

 メッシュ鉄筋の配筋図作成では、同様に鋼材規格や鉄筋径、鉄筋被(かぶ)りや鉄筋間隔などを入力し、事前に必要な配筋パターンを作成することで、スラブ鉄筋や壁鉄筋などのメッシュ配筋も行える。


 □ゼネコンの施工BIM担当者の多くが注目した、鉄筋の3次元モデル構築=自動的な配筋機能□


 bSJ第4回施工小委員会での「Allplan」のプレゼンテーション時に、施工BIM担当者が注目したのが鉄筋の3次元モデル構築だった。

 鋼の等級・鉄筋径、コンクリートの被り、鉄筋ピッチを入力した後に、配筋中心軸を指定し、配筋対象のコンクリート面上を囲み設定すると鉄筋が配置された。縦方向の配筋では、同様に鉄筋の種類などを指定、鉄筋を1本だけコンクリート断面上に配置した後、配置する鉄筋本数を入力して配置コマンド「OKボタン」をクリックすると、対象物全体を囲むように縦方向の配筋が完了した。

 鉄筋の3次元モデル化は難易度が高いため独自ソフト開発で対応する事例も散見できたが「Allplan Engineering」を使えば課題解決できる。注目すべきは、鉄筋数量の正確な把握とともに、事前の干渉チェックなど施工支援も可能となる点だ。3次元曲線のパスに沿って鉄筋を配置する機能など改善も続いている。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週火・木曜日掲載)