BIMのその先を目指して・6/樋口一希/大成建設の施工管理システム・2

2017年7月27日 トップニュース

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 大成建設が「Navisworks」をベースに開発したBIMによる建物3次元モデル+工期(4D)+コスト(5D)をリアルタイムで数値化、見える化する施工管理システム「T-BIMR 5D」について報告する。


 □計画工程・実施工程それぞれの施工状況をアニメーションで情報共有できるスライドバー□


 図は、工程が予定通り進行している場合の表示画面例。工程表のスライドバーを動かすと、計画工程、実施工程それぞれの施工状況をアニメーション化して視覚的に確認でき、日時入力によって特定日時での工事進捗をピンポイントで把握できる。

 工程については、計画より先行している部分、予定通りの部分、遅延している部分を色分けしているので、遅延している場合は、迅速かつ早期に対策を講じることができ、進捗段階でのコストも表示されているのでコスト管理が同時に実現する。

 登録データは、動画ファイル形式で出力できるので、関係者間でアニメーションを用いて工事進捗を情報共有できる。


 □工期・コストの見える化によって施工現場の一種の工場化=リーンコンストラクションへ□


 BIMモデルと連動して出来高とともに、動的に変化するコストを把握することで、当該工事の損益分岐点や現状利益さえも明らかにできる。使用部材の数値、単価、作業係数などを組み合わせれば標準工期やコストも算出できる。施工現場の効率化に貢献できる実利的なBIM運用が現実となった。

 建設業の施工現場は、製造業での工場に匹敵する、最も重要な「稼ぐ場=生産拠点」であるにも関わらず、多くの場合、建築物が一品生産であるため、情報のデジタル化のメリットは製造業のようには見えにくい。

 米国では、建設業の施工現場に、トヨタに代表される製造業で培ったリーン生産方式(lean production)を適用するケースが見られる。「T-BIMR 5D」では、設計施工時に構築したBIMモデルを転用できる利点も活かしつつ、工期・コストの見える化によって施工現場の一種の工場化=リーンコンストラクション(lean Construction)への端緒となる可能性を示している。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週火・木曜日掲載)