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建設業の造り方改革-業界団体の取り組み・上/「周回遅れ」の人材獲得競争  [2017年9月25日]

日建連「週休二日推進本部」=9月8日、東京・八丁堀の東京建設会館で

 ◇産業の将来懸けた運動開始
 働き方改革を巡る建設関係団体の対応が活発化してきた。全国建設業協会(全建)は地域建設業が目指す働き方の指針に週休2日をうたい、日本建設業連合会(日建連)は時間外労働の削減を段階的に進める取り組みなどを始動させる。各団体をこうした取り組みに駆り立てる原動力は、人材獲得への強い危機感だ。視線の先にあるのは-。(編集部・「働き方改革」取材班)
 「建設業の人材獲得競争は『周回遅れ』のスタート」。あるゼネコンの首脳は自嘲気味にそう話す。
 建設業の年間総実労働時間は全産業平均より約300時間も長いとされる。ゼネコン各社の労働組合で構成する日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)の調査では、建設現場の外勤技術者の1カ月の時間外労働時間の平均は、土木、建築とも70時間を超過したまま。全国規模で事業を展開するゼネコンは手持ち工事の消化に追われ、毎月の時間外労働について労使が交わす協定の上限を100時間以上に設定している現場も少なくない。
 仕事より生活を大切にするのが最近の若者の傾向とされる中、長時間労働が常態化しているような業種に「学生は目を向けてくれない」(準大手ゼネコンの人事担当者)。
 総務省の労働力調査によると、2016年の建設業就業者は495万人と500万人を割り込み、ピークだった1997年の約7割まで減った。少子化で生産労働人口が減少。産業間の人材獲得競争は激しさを増す。そうした中で建設業は、近い将来リタイアする55歳以上の就業者が3割を超す。人材確保は「産業として生き残る条件」(山内隆司日建連会長)となっている。
 長時間労働を是正する政府の取り組みも今年に入って急展開している。3月に閣議決定された「働き方改革実行計画」では、時間外労働に罰則付きの上限規制を設け、これまで上限規制の適用除外業種だった建設業にも、関係法令の施行から5年の猶予を置いて規制を適用することが盛り込まれた。厚生労働省が国会に出す「働き方改革関連法案」の要綱では、上限を原則月45時間・年360時間、繁忙期は月100時間未満・年720時間と定めている。
 建設業への適用については、「施主の協力を含めて全政府的なバックアップが必要」とした安倍晋三首相の指示を受け、関係省庁が民間を含む建設工事に適正な工期を設定するためのガイドラインを8月に申し合わせた。強制力はないが、工期に焦点を合わせた長時間労働の是正措置が講じられることになった。
 「政府や経済界の積極姿勢を念頭に置き、働き方改革の推進に全社一丸となって取り組むようお願いする」。日建連は22日の理事会で、働き方改革を一段と推進するための主要4項目を決議。山内会長名で会員企業に対応を要請した。4項目は▽働き方改革推進の基本方針▽時間外労働の適正化に向けた自主規制▽週休二日実現行動計画試案(案)▽要請文書「改めて労務賃金改善の推進について」。
 「誰かにしわ寄せが行く造り方を改め、全社で約束を守り慣行を是正する」(事務局幹部)。産業の将来を懸けた新しい運動が始まる。

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