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建設関連各社/災害対策に先端デジタル技術導入/避難計画立案や地形測量に新ツール  [2018年3月9日3面]

竹中工務店のVRシステムでは火災発生時の煙の挙動など被災状況をリアルに再現できる

奥村組は復興事業でVR技術を活用したドライバー教育の試行を始めた

 東日本大震災を教訓に事業継続計画(BCP)の重要性を認識する企業が増えた。建設関連業界でも数多くの企業が災害発生後、顧客の円滑な事業運営や社会インフラの迅速な復旧を支えるための技術開発を強化。最近ではVR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった先端のデジタル技術を活用した災害対策ツールも実用化されつつある。
 地震だけなく風水害などの大規模災害が相次ぐ中、建築物にはこれまで以上に高い安全性が求められている。建築物の防災計画を検討する際には、地震や火災など災害ごとに被害や避難行動の予測解析を行い、可視化するしかなかった。
 そうした中、竹中工務店は複数災害をVRで事前体験できるシステムを開発した。建築物の位置情報やBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データを活用。地震と火災など連鎖的な災害による被害と避難行動を予測・解析し可視化する。設計・施工者をはじめ、施主や施設管理者、利用者など全関係者が共通認識を持った実効性の高いBCP計画の立案が可能になる。
 豪雨や地震などに伴う土砂災害では、流出した土砂が道路や鉄道をふさいでしまうことがある。不通が長期にわたると周辺住民の生活や経済活動に深刻な影響を及ぼすため、迅速な復旧作業が求められる。
 大林組は、これまで手間と時間が掛かっていた作業手前の地形測量が素早くできるスマートフォン用アプリを開発した。アプリをインストールしたスマートフォンを持ち、画面を見ながら現地を歩くと、点群による3次元(3D)地形データがその場で取得できる。10センチ以下の小さな起伏も捉える高い精度が特徴で、一度の測量で最大約500平方メートルの範囲まで3D地形データが取得可能という。トータルステーションを使う従来方法に比べ、現地での作業時間を90%以上短縮する。
 防災教育でもデジタル技術の活用が進む。日本工営は、VRとARを組み合わせて津波や土石流による災害予測映像を作り、市民に分かりやすく伝えるプレゼンテーションツールを実用化した。自治体向けに販売し、災害時に市民の自主的避難に向けた意識の啓発を図るのに役立ててもらう。
 福島県では、福島第1原発事故に伴う除染作業で発生した汚染土を保管する中間貯蔵施設の整備が本格化している。仮置き場から運搬する汚染土の安全で確実な輸送体制を強化するため、奥村組はVRを活用したドライバー教育の試行を開始した。仮想空間で未経験ルートの走行、実体験が許されない重大事故が学べる。
 デジタル技術は日進月歩で進化を続ける。防災・減災分野でこうした技術をどう活用していくのか、各社の研究開発はますます加速しそうだ。

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