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宇都宮市ら/全線新設LRTが5月28日起工/くらしやすい都市構造へ  [2018年5月28日1面]

起点となるJR宇都宮駅東口。民間再開発も計画されており新たな“顔”となる

 国内初の全線新設による次世代型路面電車(LRT)整備へ向け、宇都宮市と栃木県芳賀町が28日に起工式を開く。単なる移動手段ではなく、人口減少・少子高齢化などが進む中で、暮らしやすい都市構造へと変える起爆剤にすることがプロジェクトの狙いだ。全国各地で検討されているLRTの今後を占う上でも大きな試金石となる。
 「全国に誇れる事業となるよう取り組みたい」。同市の佐藤栄一市長は、国土交通省が施行を認可した3月20日に会見し、こう力を込めた。JR宇都宮駅東口~芳賀町下高根沢間を結ぶ延長約15キロ路線で、公設型上下分離方式が採用される。概算事業費は約458億円。
 各地域拠点が公共交通でつながりを深めて補完関係が強化され、質の高い生活の維持・向上につながる-。同市が目指すネットワーク型コンパクトシティーの姿だ。移動しやすい環境を整えることで市民の外出機会が増え、健康増進や消費促進につながるような好循環も期待できる。それは国交省が推奨する方向性と一致する。
 「理想の都市構造にするために公共交通を用意する。そのために全体のネットワークを良くする」と同市の吉田信博副市長。バス路線も再編し、LRTとバスとの乗り継ぎ利便性向上やパーク・アンド・ライドを見据えた基盤も整備するという。
 運行面も注目が集まる。鉄道問題に詳しいコンサルタントの阿部等氏(ライトレール社長)は、「高速・大量輸送という鉄道の能力を発揮し、圧倒的に便利なサービスを実現してほしい」と期待する。ポイントの一つが運行速度だ。同市は軌道法の軌道運転規則を踏まえ、最高時速40キロとしている。安全性などが確認できれば、国が最高速度引き上げを許可する特認制度があり、同市は自動車並走区間で同50キロ、専用区間で同70キロを目指す方針だ。軌道運送高度化実施計画でも掲げており、吉田副市長は「制動距離など(車両性能)は昔と全く変わっている。規制緩和してもらいたい」と話す。
 国交省が地方自治体や鉄道事業者らとまとめた「まちづくりと一体となったLRT導入計画ガイダンス」(2005年)でも、速達性を追求するべき路線では特認制度の検討が望ましいと明記している。
 速度向上は、利便性と同時に車両などの回転効率も高まり、運営コスト削減につながる。より事業性の高いモデルを構築することは、次に続く都市にとって有益なノウハウとなる。阿部氏は目指すべき姿として、監視員を併用した自動運転システム導入も提案している。
 多くの地方都市が人口減少、高齢化、市街地空洞化といった悩みを抱えている。持続可能な都市への切り札となるのか。期待が高まる中、22年4月開業を目指しLRTの整備プロジェクトが始動する。

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