建設リサイクル

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建設リサイクル・下/再生骨材コンクリのJIS改正へ/規制緩和で生産後押し  [2018年4月19日]

コンクリートのリサイクルは道半ば。規制緩和と品質管理の兼ね合いが課題だ(本文とは関係ありません)

 コンクリート塊の再利用は砕石だけではなく、骨材として再び流通させる方法もある。再生骨材と再生骨材コンクリートは品質に応じ、「H(高)」「M(中)」「L(低)」という3種類のJIS(日本工業規格)が規定されている。そのJISが本年度改正される。

 改正案では、L規格の再生骨材と普通骨材を混合し「M化」する方法を新たに規定。再利用する原骨材の特定方法、塩化物量の試験方法、再生骨材コンクリートLのスランプ値の検査頻度なども改める。技術面の規制緩和を図ることで、普通骨材やH規格に比べ用途が限定されている他規格の普及を後押しし、全体の生産量や使用量を引き上げる狙いがある。
 JISの改正手続きを所管する経済産業省産業技術環境局国際標準課によると、改正案は3月に了承済み。経産相への答申を経て5月21日にも、改正を告示する方向という。担当者は「6カ月の周知・移行期間を経て、11月から本格適用する見通しだ」と話す。
 JIS改正は5年に1回程度の頻度で行われている。規制緩和でプレーヤーがどれだけ増えるかは未知数だが、今後の解体工事量の増加が確実なタイミングでの改正には、期待もかかる。
 昨年度から、再生砕石利用拡大支援制度を運用する都環境局も「コンクリート塊の再利用の本命は骨材」との認識を持つ。再生砕石には再生骨材のような規格がなく、切迫性を考え都が民間の品質基準に信用を付与する支援制度を構築することになった。
 学識者からは混合骨材の解禁で「M、LどちらのJISにも対応できるようバッチャープラントを管理しておく動きが想定される」との見方が出ている。廃棄物処理や土木工事を手掛ける成友興業(東京都あきる野市)の細沼順人社長は「単価を普通骨材より高く設定するのは難しいが、生産量でカバーすれば利益は見込める」と期待を示す。
 コンクリート塊の再利用は、骨材より砕石としての用途が多い。細沼社長は「再生砕石の製造は、リサイクルというよりリユースに近い。資源の枯渇を防ぐには、建築物から出たものを再び建築物で使用する本当のリサイクルの実現が必要だ」と強調する。
 経産省はJIS改正後、業界側の自主的な品質管理の在り方がこれまで以上に問われるだろうとみている。一度使われた骨材は、容易に取り換えることはできないからだ。
 外部有識者とつくる経産省の調査会は、混合骨材の扱いについて「Lを使っても良いのであれば、M規格の製造は楽になる」と今後の展開に期待。その一方で「実態として、どの程度の性能が発揮されるかはそれなりの根拠が必要だ」と指摘。審議に慎重を期した上で、導入を承認した。
 改正案では、同じ設備を使い各規格の再生骨材・再生骨材コンクリートを製造できることも明確にしている。これまでは、各規格で専用設備を用意しなければならないと解釈されるケースもあったという。普及には追い風だが、複数の規格を同じ設備で製造する場合、厳格な管理が求められる。
 国の規格であるJISの影響力は自治体独自の取り組みよりもずっと大きい。「認めていない骨材の混合が見過ごされたら大変なこと。業界には、規制緩和の意味と問題意識をしっかり持ってもらいたい」と経産省は呼び掛けている。
 (編集部・蔵持功)

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