土木・建築計測器メーカーの東横エルメス(神奈川県海老名市)が2026年(令和8年)5月18日に創業50周年を迎えた。リニア中央新幹線や高速道路など国を代表する大規模プロジェクトに多く携わり、ゼネコンの情報化施工を支えてきた。次の60周年や100周年に向けた成長戦略をどのように描くのか。鈴木敦社長に聞いた。
Interview
代表取締役社長 鈴木 敦 氏
―創業から50周年を迎えた。
「4代目の社長として、何とかバトンをつないでこれた。安堵(あんど)しているというのが正直な気持ちだ。決して平たんな道のりではなかった。特に2000年代後半は公共事業関係費が大幅に削減され、債務超過に陥る大変苦しい時代だった。それでも当社に残ってくれた社員には感謝している。長年お世話になってきたゼネコンや販売代理店、協力会社にも同様の思いだ」
―記念事業の計画は。
「22日に海老名市のホテルで記念式典を開く。全役職員やステークホルダーら約110人を招き、感謝の気持ちを直接伝えたい。若手社員が中心となってプロジェクトチームを組み、会場の手配や記念誌の作成を進めてきた。50周年を記念して初制作した当社のブランディングムービーも上映する予定だ」
―当面の重点施策は。
「主力の山留めや構造物変状などの計測事業を伸ばしていく。ここ数年、インフラ整備に活用される技術は非常に高度化、多様化した。都市部では近接施工や大深度地下工事などの難しい計測も増えている。鍵を握るのがデジタルだろう。3年前に立ち上げたIoT推進室が中心となり、デジタル計測器の開発や改良に力を注ぐ。国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)への登録申請も増やしたい。今年始動した5カ年経営計画では、30年12月期の目標として売上高12.5億円(25年12月期10.2億円)、売上総利益4億円(3.2億円)の達成を掲げた」
―60周年を見据え、成長戦略をどう描く。
「事業領域の拡大だ。従来の新規土木・建築プロジェクトに加え、今後5~10年以内には維持更新を含む防災・減災、国土強靱化にも携わりたい。その一環として京都大学と地滑り発生を予知するための地盤傾斜計を研究開発し、実際の現場で検証中だ。個人での費用負担が難しい民家などの地滑り対策では、保険会社や警備会社などとタイアップできれば面白いと考える。国際協力機構(JICA)の支援で手掛けるベトナムでの計測事業もさらなる拡大を見据え、同国の人材も採用している」
―今後の重点課題は。
「技術の継承が最も大切だ。そのためにも売り上げ至上主義から利益最優先に転換した前社長の方針を継続し、社員の待遇を着実に改善していく。能力にたけた人材を早期に管理職へ登用するとともに、エキスパート職も設置し、後進の指導にきめ細かく当たりたい」
―100周年にどのような会社にしたい。
「創業時に7人だった社員数も70人となった。100周年までを第2創業期と位置付け、持続的成長を目指す。われわれの業務はニッチな面もあるが、国家プロジェクトにも携われる大変重要で誇りを持てる仕事だ。『人と人とのつながりを大切にしよう』と掲げる経営理念の下、社員一人一人が明るく元気に仕事をし、社会から必要とされる企業であり続けたい」。
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