業務・資金・取引を一体改善
株式会社小泉の活動

 住宅設備総合商社の小泉(東京都杉並区、長坂剛社長)は、東日本を中心に営業所ネットワークを構築し、地域密着型のビジネスを推進する。その中で同社が開発した顧客向け取引管理アプリ「K-Mobile(ケーモバイル)」は、「いつ」「どこで」「誰が」「どんな」資機材を購入したかをスマートフォンやパソコンで確認でき、導入企業の業務効率化に大きく貢献している。アメリカン・エキスプレス(アメックス)のクレジットカード決済との連携でさらなる価値向上を目指す同社の活動や今後の展望を、田中久喜取締役システム部部長と武田友梨羽主任に語ってもらった


資機材購入 スマホで履歴確認 アメックスのクレジットカード決済融合は強力な武器

Interview 
取締役システム部 部長 田中 久喜

営業所+卸売店で事業展開
ーー営業所を中心に事業を展開していると伺っている。
「1947(昭和22)年に設立した当社は、今年で80周年を迎える。これまでに首都圏を中心として、東北から東海地方まで100カ所を超える営業所を構え、事業を展開している。敷地がさら地の状態から、住宅やビルなどの建物が完成するまでに必要となる資機材の注文を受け、各現場へ供給している。取り扱う商材は、▽住宅設備▽配管部材▽建材▽電設資材−の四つに大別できる。取引する顧客数は3万〜4万社。営業所とは別に、職人さんなどが直接訪れて資機材を購入できる卸売店『プロストック』も29カ所で展開している。午前6時から午後10時まで豊富な商品を取りそろえ、幅広いニーズに対応できるようにしている」
ーーK-Mobileを開発、導入した経緯を聞きたい。
「営業所を中心にお客さまと直接やり取りし、必要な資機材の注文を受け、各現場へ資機材を供給する事業は、これからも変わることはないと考えている。その中で『発注履歴をウェブ上で見られないか』『納期や請求情報をすぐに確認できないか』といったお声を受けて、スマートフォンやパソコンで確認できるアプリとしてK-Mobileを開発し、2019年に導入した。現場でどのような資機材を調達したかを知りたいという声に対し、それまでは電話などで問い合わせを受け、営業所の担当者が調べて伝えていた。これらをオンラインで確認できる効果は大きい」
ーー顧客の業務効率化にどのように寄与しているのか。
「当社とお客さまをオンラインでつなぐ業務基盤として開発したK-Mobileは、発注・見積情報・納期・請求情報の一元管理、24時間リアルタイムでの確認、過去履歴を活用した再発注、スケジュール管理、請求データの可視化・出力、CSVデータ抽出といった機能を備えている。日常業務をデジタル上に統合することで、現場レベルの業務効率化につながっている。複数拠点を持つ企業にとっては、各拠点の発注状況を一元的に把握することによって重複発注や過剰在庫の減少につながっているという。ある現場での過去の注文履歴を活用して、それを参考に類似現場での発注も効果的に行えるようになる。個々の業務の効率化に加え、業務データの蓄積によって経営判断に生かすことも重要だと考えている」


K-Mobileのスマホ画面


手形廃止で資金負担前倒し懸念
ーークレジットカード決済を組み合わせている。
「資機材納品後の代金支払いはこれまで、振込、現金、手形、小切手が中心だった。しかし近年、手形廃止の流れが進む中で、お客さまからも『資金負担が前倒しになるのではないか』『業務負荷が増えるのではないか』という声が増えていた。こうした課題に対し、当社では22年4月にK-Mobileとクレジットカード決済を連携させ、アプリ内で注文から支払いまでを一元化し、業務と資金の両面から取引全体を改善できる環境を構築した。その結果、お客さまにとっては、業務の進めやすさに加え、資金面での安心感も高まり、『小泉との取引を優先したい』という声もいただくようになっている。さらなるお客さまの満足度向上を目指して、アメックスによるクレジットカード決済を22年10月に導入した」
ーーアメックスとの共創を通じて、顧客の資金面の課題にどう対応しているのか、具体的な取り組みを聞きたい。
「27年3月末までに紙の手形・小切手の交換が廃止される。これまで手形で対応していた支払いが現金化されることで、資金負担が前倒しになる企業が増えている。実際に、お客さまからも『資金繰りに余裕が持ちづらくなった』『案件判断を慎重にせざるを得ない』という声を聞く機会が増えている。当社としても、こうした変化に対して、単に支払い方法を増やすだけでは十分ではないと考えた。アメックスと議論を重ねる中で見えてきたのは、決済は単なる代金回収の手段ではなく、資金の流れや取引の進め方そのものに影響する“経営に関わる要素”であるという点だった。そこで当社では、K-Mobileによる業務基盤と、アメックスブランドが持つ決済・営業人材・ネットワークなどの総合的な価値を組み合わせることで、お客さまが業務・資金・取引を一体で改善できる環境づくりを進めている」
「例えば、アメックスでのクレジットカード決済を活用することで支払いタイミングに柔軟性が生まれ、手形廃止で前倒しになりがちな資金負担を平準化しやすくなる。その結果、複数案件を同時に進めやすくなり、仕入れや投資判断にも余裕が生まれるケースが出てきている。また、アメックスでは決済機能だけでなく、当社との取引に限らず、お客さまの取引全体や資金状況を踏まえながら、クレジットカードの活用方法や運用面についても個々に対応してもらっている。その中で、高額資材の調達や新規取引などにおいても、決済や与信面を含めて柔軟に相談しながら進められるケースがあり、結果として商談を前に進めやすくなる場面も増えている。クレジットカード決済に対する安心感があることで、お客さま側でも意思決定がしやすくなり、案件が進みやすくなるケースが出てきている」
ーーアメックスのクレジットカード決済を活用したコスト面での効果は。
「日常的な調達の中でクレジットカード決済を利用することで、ポイントやリワード(特典)が蓄積され、結果として実質的なコスト削減につながっている。ただ、当社としては単なるポイントメリットだけを訴求しているわけではない。K-Mobileによる業務効率化と、アメックスのクレジットカード決済による資金の柔軟性・経済合理性が組み合わさることで、継続的に利用するメリットを実感いただきやすくなっている。日々の業務や資金管理の中で継続的にメリットを感じられるため、結果として『小泉を継続的に利用する理由』にもつながっていると感じている。その結果、お客さまとの継続的な取引や関係性の深化にもつながっていると考えている」


顧客にさまざまな価値をもたらす


企業成長のパラダイムシフトに
ーー業務全般に対する効果をどう捉えている。
「多くの現場を見てきた中で感じているのは、発注・請求・支払い・案件判断といった業務が、それぞれ別々に管理されていることだ。結果として判断スピードや経営効率が制約されているケースが多い。例えば、業務がデジタル化されていても資金面で判断が止まる、あるいは資金に余裕があっても業務負荷が高く動けない、といった状況である」
「K-Mobileとアメックスのクレジットカード決済の共創により、単に業務効率が上がるだけではなく、資金面も含めて取引全体を見通しやすくなる。案件判断のスピード向上や、取引機会を逃しにくくなるといった変化も生まれている。お客さまからは『業務と資金の両方をまとめて相談できる』という安心感につながっているという声もあり、継続的なお取引の理由の一つになっていると感じている。“業務・資金・取引を分断させない仕組み”を実現できていることが、他社にはない強みにつながっていると考えている」
ーーこれまでの導入状況から、どのような企業に特に適した仕組みといえるだろうか。
「例えば複数の案件を同時に進めていたり、拠点ごとに発注や管理方法が異なったりする場面では、K-Mobileによって情報が一元化されることで、日々の業務が整理されやすくなる。また、決済の選択肢が増えることで、取引の進め方に柔軟性が出てくるという点でも、実務上の使いやすさを感じていただいている。各企業の業務の進め方に合わせ、無理のない範囲から導入できる点も特徴だ。例えば、まずは発注管理のみ、あるいは特定取引のみクレジットカード決済を導入するなど、個別の取り組みから始めて、徐々に活用の幅を広げる事例も多い」
「今のやり方を少しでも見直したいと考える企業にとって、取り入れやすい選択肢の一つになると考えている。導入企業の中には、事務工数を削減すると同時に、支払いサイトが実質的に延びることで資金繰りに余裕が生まれ、これまで見送っていた案件への着手が可能になった事例もあったと聞く。経営全体に『攻め』の余白が生じることが、単なる効率化の数値を超えた企業成長のパラダイムシフトになると考えている」


東北から東海地方まで100カ所を超える営業所を展開

ハイブリッド型営業体制へ
ーー今後の展望を。
「K-Mobileとクレジットカード決済の融合は強力な武器となる。当社では、K-Mobileに登録した翌日からクレジットカード決済が可能となっている。これは他社にはない大きな強みといえるだろう。繰り返しになるが、営業所を中心にお客さまと直接やり取りする当社のスタイルは、これからも継続していく。その中でK-Mobileを核とするデジタルと組み合わせたハイブリッド型の営業体制を構築し、ニーズに柔軟に対応できるよう、一層のサービス向上に努めていく。さらに、提案営業する営業所と幅広い商品を取りそろえるプロストックを組み合わせ、そこにK-Mobileを効果的に生かすことで、さらなるサービス向上につなげていく」


プロストックでは午前6時から午後10時まで資機材を直接購入できる

顧客の声聞き改良重ねる

Interview 
システム部主任 武田 友梨羽

ーーシステム部の担当者として、K-Mobileの導入効果をどのように実感しているのか。
「営業所の担当者に話を聞くと、お客さまとのやり取りはこれまで電話やファクスで行っていたため、出先から事務所に戻る必要があった。K-Mobileでは、出先でもスマホで情報を確認できる。お客さまの業務効率化につながっているとの声が寄せられている」
ーー顧客の声をどのように生かしているのか。
「当社では、お客さまにとって使いやすいサービスとすることを目指している。注文を受けた商品を現場に届ける際、お客さま側で荷受けに立ち会う人手が足りず、対応できないケースがあると聞いた。そのため、K-Mobileに納品を通知できる機能を追加した。現場のどこに商品を置いたかを撮影し、写真で送信することで、納品に立ち会わなくても済むようにした。商品が届くまでの間、お客さまは他の作業に従事できるなどして、人員配置の効率化につながっているようだ」
「今後も営業担当者を通じてお客さまの声を収集し、必要な改良を重ねていきたい」