論説・コラム

回転窓/16歳の死と託された望み [2015年7月15日1面]

 小児がんの専門医で俳人の細谷喨々に、病気で亡くなった子どもたちのことを詠んだ句がある。〈朝顔の花数死にし子等の数〉▼朝の間に美しく咲く朝顔も、昼を待たずにはかなくしぼんでしまう。その花を数えているうちに、幼くして死んだ子どもたちの顔が一つ一つの花に重なって見えてきたのだという。『NHK俳句 子どもを詠う』(西村和子著、NHK出版)から引いた▼「この世の不条理を感じずにはいられない、あまりにも短い...続きを読む

回転窓/水と湯 [2015年7月14日1面]

 7月前半は、梅雨前線と台風の影響で東日本から西日本にかけてはこの時期らしいぐずついた天気が続いた。日照時間が記録的に少なかった地域もあるようだ▼日本はアジアのモンスーン地帯にあるので、日本語には雨や水、あるいはそれらに関係する語彙(ごい)が豊富である。雨を表す言葉なら、春雨、五月雨、梅雨、夕立、時雨…といくらでも出てくる。水に関する言葉もしかり▼世界の主要言語の中で、水と湯にまったく別の単語を当...続きを読む

日建連/会員45社の14年度決算分析/収益性改善がより鮮明に [2015年7月14日12面]

 ゼネコンの収益が改善傾向にあることが、日本建設業連合会(日建連)が3月期決算の上場会社など会員企業45社を対象に行った14年度決算状況調査であらためて浮き彫りになった。45社合計で見ると、売上高は前年度比5・8%増の11兆9555億円。本業のもうけに直結する完成工事総利益(粗利益)は過去5年で最高となる22・6%増の7658億円に回復。工事採算を示す粗利益率も2年連続の上昇となった。16年3月期...続きを読む

回転窓/優秀な人材と大学経営 [2015年7月13日1面]

 オープンキャンパスの実施時期を前に、新聞や電車内に大学の広告がやたらと目立つ。少子化で受験者数は減少傾向にあり、どの大学も学生を呼び込もうと懸命だ▼近畿大は大学案内を大胆に見直し、ファッション誌さながらに。学長のあいさつもなくし、学生のファッションや日常を写真で紹介。学生の「ありのまま」を見せることで、受験生に興味を持ってもらう趣向だ▼和洋女子大は来年から入試成績の上位者を特待生に。上位約40人...続きを読む

建材需要に異変-工事活況でも伸び悩み/着工先送り影響、手持ち豊富も一因 [2015年7月10日1面]

 建設産業が活況を呈する一方で、建設資材の需要が伸び悩んでいる。セメント、生コンクリートなど主要資材は軒並み14年度の需要量が当初想定を下回り、15年度に入っても改善が進んでいない状況だ。このところの建設コストの高騰を受けてデベロッパーなどが着工を先送りしていることや、大量の手持ち工事を抱えるゼネコンが受注増に慎重になっていることなどが原因とみられている。震災復興からアベノミクス、2020年東京五...続きを読む

回転窓/施策は歴史の積み重ね [2015年7月10日1面]

 建設省(現国土交通省)が「建設産業政策大綱」を策定したのは1995年。92年をピークに建設投資が大幅な減少に転じ、それまで指名競争で行われた公共工事の入札が一般競争へと大きくかじを切った時期である▼大綱が掲げた目標は、「エンドユーザーにトータルコストで良いものを安く」「技術と経営に優れた企業が自由に伸びられる競争環境づくり」「技術と技能に優れた人材が生涯を託せる産業づくり」の三つ▼どうだろう。2...続きを読む

建築へ/建設各社、国産木材利用が活発化/改正建基法や円安進行が後押し [2015年7月10日18面]

 建設業界で、国産木材を利用する動きが拡大している。背景には、6月1日に全面施行された改正建築基準法で木造建築の耐火関連基準が見直されたことや、円安の進行により輸入材との価格差が縮まったことなどがある。ゼネコンの中に、国産材を含む中・大規模木造建築に取り組む動きが出ているほか、建設資材や建材の国産材化も進行している。林業活性化の観点からも国産材利用への期待が一段と高まりそうだ。改正建築基準法では、...続きを読む

回転窓/防災体制と投入コスト [2015年7月9日1面]

 よく行く居酒屋がある。1割引のクーポン券が使えるというのが理由なのだが、このお店に行く際には座る席に注意しなければならない▼店員が少ないため、奥まった場所に座ってしまうと、なかなか注文を取ってもらえないのだ。遠くから何度も「すいませーん」と叫ぶことになり、いらいらが募ることも▼とは言え、もともとリーズナブルな上に、さらに割引までしてもらっている。一生懸命に動き回る店員を見ると、あまり強くも言えず...続きを読む

回転窓/住生活文化をアニメで知る [2015年7月8日1面]

 夏の風物詩「蚊帳」-。その歴史はだいぶ古いが、日本の一般家庭から姿を消して久しい。言葉の響きに郷愁を覚える方も多かろう▼先日開かれた日本建築学会のシンポジウムで、香川大学の妹尾理子教授が日本の住生活文化に関する面白い調査結果を紹介していた。学生に蚊帳や床の間などが説明された短文を示し、当てはまる実物の写真を選ばせたという▼正しく認識していた学生の割合は、床の間が4割、囲炉裏が6割。これらに対し、...続きを読む

回転窓/選手の能力を引き出すには [2015年7月7日1面]

 カナダで開催されていたサッカー女子ワールドカップ(W杯)。4年前の前回大会に続いて日米対決となった決勝戦は日本時間6日午前に行われた。なでしこジャパンは2対5のスコアで惜しくも敗れ、米国が前回の雪辱を果たした▼日本は前半16分までに4失点というまさかの展開。だが選手たちは前を向き、劣勢を挽回しようとピッチを走り回った▼結果は残念だが、奮闘を心からたたえたい。王者に就いて4年間、いろいろなプレッシ...続きを読む

回転窓/記憶に残る日に [2015年7月6日1面]

 小欄のネタに困った時、その日の過去の出来事や記念日などを調べ、それを取り入れて執筆することがある。情けない話だが、良いネタが浮かばなければ致し方ない▼本日7月6日。記憶の片隅に何か重要な日だったようなひらめきが。ただ、調べてみると、それは淡い期待に終わる。〈「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日〉。歌人の俵万智さんが1987年に出した歌集『サラダ記念日』(河出書房新社)のタイト...続きを読む

回転窓/建設現場の断捨離 [2015年7月3日1面]

 最近よく耳にする「断捨離」という言葉。「不要なものを断つ、捨てる、離す」との意味である。ヨガの修行法「断行」「捨行」「離行」から来た言葉だそうだが、片付けや整理整頓の極意としてよく使われる▼最近の若い人はそうでもないかもしれないが、ものを捨てることはなかなか難しい。何かに使えるだろうと思って残しておいた結果、いつの間にか大量のものに囲まれていたという人も多いのではないか▼片付け、整理整頓で見習う...続きを読む

回転窓/オワハラと若者の離職 [2015年7月2日1面]

 職場などでのパワハラやセクハラはよく知られるが、最近は就職活動中の学生に内定を出した企業が就活終了を強要する「オワハラ」なる言葉が聞かれる▼最近の売り手市場の就職戦線では、より良い会社に入ろうとする学生側と、人材不足の中で他社に先んじて社員を確保したいと考える企業側の思いにギャップが生じる。オワハラで不信感が募り、しこりを残したまま入社したら職場になじめるだろうか▼厚生労働、文部科学両省の調査に...続きを読む

回転窓/日本一の飯炊き女 [2015年7月1日1面]

 企業の株主総会が集中した6月末。この時期は、各社にとっては経営陣の世代交代が進む時でもある。建設業界でも、社業や業界団体の活動を引っ張ってきた多くのベテランたちが一線を退き、次の世代にバトンを引き継いだことだろう▼「黒部ダムの建設工事に心を打たれて一直線に入社した」というあるゼネコンの首脳もそうした一人。理事を10年以上務めた業界団体の活動を退くに当たって、土木技術者として歩み出したころのエピソ...続きを読む

回転窓/山も工事も安全第一で [2015年6月30日1面]

 きょうで6月は終わり。列島各地は梅雨のさなかですっきりしない空模様だが、本格的な夏空も間近である。あす7月1日は、富士山をはじめ多くの山が山開きを迎えることだろう▼山開きとは本来、特定の日に一般人に入山や登山を認めること。山岳信仰が盛んだった時代に、普段は修験者や僧以外に立ち入りが許されない神聖な霊山を、日を決めて俗人に開放することだったという▼現代の山開きはこれとはだいぶ意味が違う。山小屋や登...続きを読む