BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・13/樋口一希/BIMソフトと設計者との連携・3  [2014年4月17日]

「鴻池組のBIM活用事例:Race to the top 10」より(鴻池組提供)

 鴻池組(本社大阪)の建築設計部門における2次元図面と3次元モデルとの運用実態、施工を視野に入れた今後のBIM運用の課題について報告する。


 □設計者が相関的に実務運用を始めた2次元図面とBIMによる3次元建物モデル□

 BIMソフト「GLOOBE」が浸透する中で、2次元図面と3次元モデルとの関係への設計者の意識も変化し始めている。

 2次元CADソフトでは図面作成が目的であり、成果物は〔2次元図面〕だ。やがて設計者は、〔2次元図面の背後にあるデジタルデータ〕の活用=建築情報のデジタル化のメリットに気づく。意匠、構造、設備などのレイヤーを組み合わせて選択的に表示し、必要な(組み合わせ)図面も自在に手に入るし、平・立・断の2次元でも干渉チェックはできる。

 設計者の意識は、2次元図面+デジタルデータ=〔2次元の建物モデル〕構築へと変化し、そのベースの上にBIMソフト導入が行われた。

 実際の施工手順に近い手法で入力を行うBIMソフト「GLOOBE」の採用で、設計者は3次元モデルを意識しながら設計できるようになった。設計者の意識と設計プロセスは相乗的に変化し始め、建物の2次元データ(図面)と3次元モデル(属性データを含む)とは相関しながら運用実績を上げ始めている。


 □実務運用で得られたBIMソフトの3次元モデルから各種図面の約7割が生成可能□

 設計者は、建物の2次元データ(図面)と3次元モデルとを相関しながら運用する中で、2次元データ(図面)の重要性を再認識した。現状では、建築工程の中を流通するのは3次元モデルではなく、建築内部の符牒としての2次元図面だ。

 BIMソフトでは、符牒部分=暗黙の了解=記号・標記などは入力しない。2次元図面だからこそ表現でき、工程間を流通する記号・標記もある。この部分に着目したBIMソフト「GLOOBE」は、3次元モデルを基に設計者が必要とする2次元データ(図面)を生成する。

 「BIMソフトで構築した3次元モデルから設計者が必要とする各種図面の7割程度が生成できるのが実証できた。残りの3割は設計者が加筆、修正していくが、図面1枚あたり平均すると、最短では30分ほどの作業時間となり、作図業務の大幅な省力化が可能となった」(鴻池組設計本部建築設計第一部企画営業設計グループ部長・井上光二氏)


 □FMへの援用も視野に入れて属性データを内包するBIMの特性をいかに活かすかが課題□

 建築設計部門でのBIMソフト運用が軌道に乗り始めている中で、施工部門でのBIMソフト運用についても検証を進めている。

 「GLOOBE」と同じく福井コンピュータアーキテクトの「J-BIM施工図CAD」との連携について検証しているが、現状、2次元図面でも設計データのどの部分を施工に援用するかの試行錯誤を続けている。また、積算システムとの連動についても検証中である。

 背景には、単なる3次元の設計ツールではなく、属性データを内包するBIMソフトのもうひとつの側面をいかに活用するかという建設業全体の課題がある。

 「3次元モデルは竣工後のFMにまで援用できる。今後は設計・施工を標榜し、建築の工程全般に関わる建設会社としてさまざまな関係者間でのルール策定にも関わり、BIMの更なる運用メリットを追求していく」(鴻池組執行役員建築事業本部設計本部長・藤澤繁男氏)

 次回は建築設計事務所から出自し、BIMソフトによる3次元モデル作成、BIM運用マニュアル作成から関連ソフトウェア開発、そして人材教育までも実践している「BIM LOBO」について報告する。

 〈アーキネット・ジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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