BIMの課題と可能性・180/樋口一希/IM&VRソリューション・3

2017年6月13日 トップニュース

文字サイズ

 BIM/CIMを包括的にカバーするフォーラムエイトのソリューション・プラットフォーム「IM&VR Solution」の中核をなす「UC-win/Road」の実際を報告する。


 □「BIMの先へ」と向けた今日的な動向としてBIM:CIM:GIS融合へ向かっているデジタル空間□


 6月1日、カーナビの位置情報システムの性能を飛躍的に高めるGPS衛星「みちびき」が打ち上げられた。本社展示スペースにはゲームセンターにあるようなドライブ・シミュレーターも設置されている。

 フォーラムエイトでは、自動運転が脚光を浴びる以前から、「UC-win/Road」による3次元大規模空間の構築を通じて、交通(道路)に加えて、景観、日照、風、騒音、浸水・津波、避難などの各種ソリューションを提供していた。

 BIMによる単独の3次元建物モデルは、複数の建物モデルが集合する街区や都市レベルでの大規模空間へと統合され、「BIMの先へ」と向けた今日的な動向としてBIM:CIM:GISの融合に向かっている。


 □添付の地形情報による地形入力+線形などの道路定義で容易に3次元大規模空間を構築可□


 「UC-win/Road」は、〔地形入力〕〔道路定義〕〔道路生成・交通流生成〕〔編集・出力・VRシミュレーション〕の四つの機能領域から構成されている。

 〔地形入力〕では、全国版として標準添付の5m/30m/50mメッシュ標高、全世界対応のSRTM(90mメッシュ)・ASTER(30mメッシュ)から地形情報を取得し、全国の2500空間基盤から航空写真・平面図として地図情報を入力するとともに、Shape・IFC・DWGなどの3D/2Dデータも取り込む。

 〔道路定義〕では、地形上に道路を構成する線形、断面、交差点を定義していく。道路平面線形(クロソイド・スプライン対応)、縦断線形定義でトンネル、橋梁区間を設定し、断面定義では小段を考慮した切り土・盛り土処理、テクスチャ処理の実行で、複雑な道路構造も線形・断面機能で作成する。

 〔道路生成・交通流生成〕では、切り土・盛り土・すりつけ処理などの道路土木処理、時間交通量、車種プロファイルなどの交通流内部処理を行う。

 〔編集・出力・VRシミュレーション〕では、構築された3次元大規模空間を編集し、必要に応じて、さまざまなシステムへと出力、援用する。

 Visual Options Toolを用いることでリアルタイムでの時間、天候、ライトなどの制御やフェイクライト機能による昼夜間表現、影の投影とともに、交通量、車両プロファイル、信号設定に基づく交通流生成や災害、事故による道路通行障害もシミュレート可能だ。


 □今後の技術力のさらなる伸延において優位性を発揮するプラットフォーム「IM&VR Solution」□


 2月28日リリースの「UC-win/Road」Ver12.0.0では、64bitネイティブ対応により地形空間が拡大。400km×200km(従来は20km×20km)など広大な長距離道路シミュレーションや、分解能力向上で細かいメッシュ設定+よりリアルな地形表現による高品質なテクスチャが可能となり、モデルの4GB制限もなくなった。配置モデル数の拡大と同時に、個々の建築モデルの表示もスムーズになり、地表面、路面、モデルなどで扱えるテクスチャ量を大幅に拡張している。

 フォーラムエイトでは、建機メーカーと協働して駆動系センシングの研究を行うなどIoT(Internet of Things)をInternet of Buildingへと、さらにはConnected CarからConnected Buildingへと技術力を伸延していくポテンシャルを秘めている。その際にもBIM:CIM:GISを統合したソリューション・プラットフォーム「IM&VR Solution」は大きなアドバイテージとなるに違いない。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週火・木曜日掲載)