BIMのその先を目指して・17/樋口一希/竹中のクラウド型遠隔監視システム・2

2017年9月7日 トップニュース

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 竹中工務店では、岡谷鋼機(名古屋市)と共同で、作業所や工場などの作業員の負担軽減を目的として、自動的に清掃対象物をかき集めるロボット「TOギャザー」(岡谷鋼機より商標登録出願済み)を開発した(岡谷鋼機と共同特許出願済み)。

 □四隅のカラーコーンをレーザースキャナで検出して清掃領域内にある清掃対象物を集める□

 建設需要が好調なのに加えて、既設建物の更新需要も潜在的な高まりを見せる中で、建設技能労働者の不足が喫緊の課題となっている。高度な技能職をロボットで代替するのは現状では困難だが、清掃など軽微な作業をロボットに任せることは可能となった。家庭用ロボット掃除機も登場して久しい。作業所で使用するために耐久性を確保し、本来の生産工程を毀損(きそん)しないなどの工夫を施せば、原理的には確立された技術なので十分に利用価値はある。
 今回、開発された自律走行かき集めロボット「TOギャザー」は、作業所の床上にある清掃対象物をかき集めるロボットで、あらかじめカラーコーンによって指定された四角形の清掃領域内の一片に清掃対象物を集めることができる。
 原理的には、四隅に置かれたカラーコーンをレーザースキャナで検出することで清掃領域を判断し、移動経路を自動生成している。

 □1日の作業時間の約20%を費やす重労働である清掃作業を削減し作業所の労働環境を改善□

 利用シーンとして考えられる耐火被覆工事ではこれまでは被覆作業時、床上に落下させていた材料を作業終了時に担当作業員が清掃していた。このように事後に行う作業にも関わらず清掃は1日の作業時間の約20%を費やす重労働であり、作業所の労働環境を改善するためにも自動清掃ロボットが切望されていた。
 加えて、従来の吸引型清掃ロボットでは、吸引対象物の量が多く、すぐにタンクが満杯になってしまうため効率が悪く、かえって余計な人手もかかっていた。自律走行かき集めロボット「TOギャザー」を作業時間中に随時作動させることで作業後、一片に集められた材料を人手で集積し一挙に清掃すればよいため、清掃時間を半減させる目標を設定している。清掃スピードは、清掃領域100平方メートルの範囲を30分以内でかき集め可能だ。
 竹中工務店では、今後、岡谷鋼機とレンタル会社と共同で、開発した自動走行かき集めロボットの試行と改良を重ね、10月を目途にレンタルおよび販売を開始する予定。
 ◇仕様
 ・本体部:長さ64cm、幅40cm、高さ29cm
 ・ブレード部:幅100cm、高さ29cm
 ・本体重量:22kg
 ・走行速度:0.1m/s
 ・連続駆動:8時間
 ・安全装置:非常停止スイッチ、障害物検知センサー、接触停止センサー〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週火・木曜日掲載)