建設キャリアアップシステムへの道・4/19年1月から24現場で限定運用

2018年12月18日 トップニュース

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 ◇各種パターンに的確対応
 来年4月からスタートする建設キャリアアップシステム(運営主体=建設業振興基金〈振興基金〉)の本運用に先立ち、年明けの1~3月に19事業者を元請とする24現場を対象とした限定運用が行われる。本運用に入った後の現場でのトラブルに対して、運営主体が丁寧、迅速に利用者をサポートできるよう限定運用の成果を検証してフィードバックする。
 限定運用の現場に参加する元請事業者は、大手ゼネコンが▽大成建設▽竹中工務店▽鹿島▽五洋建設▽西松建設▽戸田建設▽大林組▽フジタ▽安藤ハザマ▽前田建設▽清水建設▽三井住友建設▽長谷工コーポレーション▽東急建設-の14社。地域ゼネコンは中野土建(長野県中野市、藏谷伸一社長)と中筋組(島根県出雲市、中筋豊通社長)の2社が参加し、ハウスメーカーは大和ハウス工業、それ以外に工務店2社が参画を調整している。
 実施現場は住宅を含む建築と土木の新築と改修で、規模や立地条件などでバリエーションを確保している。現場所在地は東京都のほか、兵庫、茨城、神奈川、長野、島根の各県など広範囲に及ぶ。
 屋外作業も多い建設現場はさまざまな条件下に置かれる。インターネット環境、入場技能者数の違いによって多様なパターンが想定される。限定運用ではそれぞれのパターンに的確に対応しながら、トラブルへの対応を検証することで本運用に備える。
 11月15日に限定運用への参加を予定する元請事業者を集めた説明会が東京都港区の振興基金内で開かれた。説明会は限定運用に向けて参加者が共通認識を持ち、実施ノウハウを共有することが目的だった。現場ごとに施工を担う協力会社にキャリアアップシステムへの参加を依頼し、事業者登録と技能者登録を急ぐことを確認した。
 元請による現場・契約情報の登録や、元請と下請の連携による施工体制の登録のノウハウを早急に確立すべきこと、さらに、技能者の就業履歴の適切な蓄積に向けてきめ細かな運用方法を明示すべきことなどを巡り意見交換した。技能者一人一人が持つキャリアアップカードを読み取るカードリーダーの調達を含めて、各現場で準備を効率的に実施するなど、限定運用に必要な取り組みも確認した。
 運営主体の振興基金では、説明会で「参加者が高い志の下で熱心な意見交換が行われた」と、限定ながらいよいよ始まるキャリアアップシステムの運用に向けた手応えを感じたとしている。
 建設キャリアアップシステムを巡っては、8月に開いた「建設キャリアアップシステム運営協議会」(会長・野村正史国土交通省土地・建設産業局長)の第4回総会で現場運用が見直された。振興基金が進めてきたシステム開発を年内に終わらせ、限定運用による検証結果を踏まえ、19年度からすべての現場で利用できるようにする。=随時掲載