紙面で振り返る平成の歩み・2/2(1990)年/430兆円の公共投資基本計画

2019年2月6日 トップニュース

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 △独禁法順守で対策。指名停止期間が最長9カ月に
 △公共投資基本計画を大幅拡充。10年間で430兆円
 △業界が入札制度の在り方示す。官民懇談会で検討
 日本の建設市場開放を求める米通商代表部(USTR)による提案に応える形で建設省(現国土交通省)は、談合防止の強化策として直轄工事の入札心得や現場説明書に「独禁法等に抵触する行為は行わない」とする項目を追加した。この措置は日米建設事務レベル会議でも報告。それでも米側の姿勢は治まらず、日米構造協議の場でも建設談合を不公正取引の象徴として取り上げ、改善を迫った。
 建設省は第2弾の強化策として、指名停止期間の延長を表明。独占禁止法(独禁法)違反で特に悪質なケースは最長9カ月間、公共工事から締め出すこととした。
 米側は公共投資の拡充も求め、政府は1991年から2000年の10年間に前10年間を大幅に上回る430兆円規模の公共投資基本計画を策定し、6月28日の臨時閣議で了承した。
 7月には、建設業界7団体で組織した建設業刷新検討委員会が、市場の国際化も視野に工事希望制度などを取り入れた指名競争入札の改善、制限付き一般競争入札の一部導入などを柱とする入札・契約制度の在り方を要望。これを受けて建設省は官民で意見交換する懇談会を発足させた。
 引き続き旺盛な建設需要で人手不足に拍車が掛かり、若者の感心が高い時短への取り組みが加速。週休2日制導入への機運も高まっていった。
 地球環境問題が各方面で注目され、建設残土の処分を巡るトラブルも表面化。再利用への方向転換が示されたのもこの時期だった。