紙面で振り返る平成の歩み・10/10(1998)年/不良資産処理が活発化

2019年2月18日 トップニュース

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 △経営不振の建設会社への支援拡充
 △財政難の自治体でPFI積極導入
 △予定価格の事後公表を開始。事前公表の動きも
 不良資産の処理と長引く景気の低迷により、建設各社を取り巻く経営環境は厳しさが増す。事態を重く見た建設省(現国土交通省)が「建設業の経営改善に関する対策」を1月に決定。資金繰りでの支援策の拡充のほか、公共工事の入札に参加する合併会社への優遇措置などが盛り込まれた。
 リストラや取引銀行に対する債権放棄の要請など、不良資産処理を巡る動きも活発化した。金融再生の一環で、政府はバブル期から塩漬けとなったままの低未利用地の買い取り事業など、土地の流動化にも本腰を入れだした。
 景気回復を最優先課題として、歳出抑制から積極的な財政出動へと政策を転換。1998年度の当初予算の成立直後に総額16兆円の総合経済対策が決まった。6月成立の第1次補正予算で公共事業費として約3兆円(事業費ベース)も追加された。
 緊縮財政下で公共事業を円滑に行うため、自治体ではPFIで施設を整備する動きが目立ち始めた。建設省も5月に日本版PFIガイドラインをまとめるなど、新たな社会資本整備手法の導入を後押しする。
 公共工事の入札・契約制度改革では、同省直轄工事で予定価格を4月から事後公表し、10月からは積算内訳の公表も始めた。自治体では事後公表に加え、事前公表の動きも出てきた。
 世界最長のつり橋(最大支間長1991m)である明石海峡大橋が4月に開通した。