風をつかむ-識者の視点・5/GEリニューアブルエナジー・大西英之日本代表

2021年7月5日 トップニュース

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 ◇現地化進め対応力強化
 米GE(ゼネラル・エレクトリック)は、豊富な知見を結集して洋上風力発電事業を推進する。日本市場への展開に当たっては、東芝と連携し12メガワット級となる最新洋上風車「Haliade(ハリアデ)-X」を投入する方針だ。GEで風力分野を担うGEリニューアブルエナジーの大西英之日本代表は日本特有の厳しい条件も踏まえて技術を開発し、競争に打ち勝つ道筋を描く。
 --日本市場の認識は。
 「カーボンニュートラルへの世界的な情勢と国内の準備のタイミングが合っており、洋上風力スタートの年になっている。間違いなくマーケットが育っていくだろう。日本の発電業界にとって、GEはかなり古くからのプレーヤーだ。日本の特殊性も理解して対応できる」
 「航空機やガスタービン、研究所、陸上風力などいろいろな英知を集めてハリアデ-Xを作った。最初のプロトタイプはオランダのロッテルダムに製作し、2019年11月から1年半きっちりと動いている。英国や米国で案件が進んでいる。据え付けやサービスする人間のトレーニングに加え、出力カーブをどうするかなどに取り組んでいる。そうした経験を日本でも生かす。港の地耐力やクレーンのキャパシティーなどかなり精密に考慮しなければいけないがしっかりと準備できる」
 --重視する点は。
 「現地化を力強く進める対応力が非常に大切だ。その一つが東芝とのパートナーシップとなる。東芝との連携は、アセンブリー(組み立て)と営業窓口、サービスの運営・維持管理(O&M)になる。日本でアッセンブルすれば部品の国産化がやりやすくなる。バランスを見ながら地元からの調達比率を上げていく。東芝の京浜工場で作ってもらうが、日本での製造はもう少し先になる。今夏にフランスでハリアデ-Xの製造が始まる。東芝のチームに立ち会ってもらうことで最新機種でも成熟度を高められる」
 「日本は自然条件が厳しく、技術基準自体もグローバルより高い。日本化に当たり、技術基準に合ったパワーやブレード、(発電機などを組み込んだ基幹設備である)ナセルの最終設計を煮詰めていく責任があるが、簡単ではない。コストを上げることなく、遅れることなくタイムリーに供給することがチャレンジになる」
 --今後の展望は。
 「欧州には、グリーンだからではなくコスト競争力があるから洋上風力を導入するという事業者もいる。日本も、早くそうしたステージに入るように努力する中で、大型化は避けて通れないだろう。資源である風がいかに良い所に持って行くかも重要になる。深いところには(風が)良い所がたくさんあり、遠浅であれば着床式だが、日本は適地が潤沢ではない。突き進めると浮体式にいく。しっかりとした浮体式の技術を開発することがキーになる。そうすれば地形は関係なくなりアジアにも出て行ける」。