[20171207-10-04-001]BIMのその先を目指して・32/樋口一希/土地活用事業化支援システム・上[n1]
コンピュータシステム研究所(東京都新宿区)は、土地活用提案営業のワークフローを革新する土地活用事業化支援システム「ROOK2」(特許第6084780号)の市場供給を開始した。敷地条件から集団規定をクリアした計画建物を自動設計し、コストを自動積算、根拠のある見積もりをベースに目的に応じたさまざまな収支計算のシミュレーションが可能だ。これによって人的な手間と時間を削減しつつ、土地の利用価値を最大化し、事業計画の最適化に寄与する。
□土地オーナーなどの事業主体に対して提出する事業計画書の作成手間と時間を大幅に削減□
コンピュータによる設計支援ツールは、既存のワークフローを前提としているためもあり、計画初期に行う「単体・集団規定」「斜線・逆日影・避難経路等の規制チェック」などの法的規制への対応から始まり、CAD・BIMソフトなどを用いた「建築設計」「概算見積もり」を経て「事業収支計画」などの立案に至るまで、各ソフトが単体で稼働、発展してきた。「ROOK2」は、これらの業務を集約し、独立したソフトとして稼働するもので、土地オーナーなどの事業主体に対して提出する事業計画書の作成時間を大幅に削減する。
「ROOK2」の機能などを調査する段階ですぐに思い描いたのは連載「BIMの課題と可能性」79~81で報告した「長谷工コーポレーションの『究極』のBIM運用」だった。長谷工コーポでは、マンションの設計施工を100%近く(98%)自社配下で行うなどの環境下、独自開発のBIMソフトを運用し、誤差2~3%の極めて精度の高い事業計画立案までを行っていた。
□成約可否が不確定段階で建築法規をクリアした建築計画・概算見積もり・収支計算の一連業務が実現□
土地活用の企画・提案業務を円滑に行い、成約率を上げるための営業支援ツールとして位置づけられる「ROOK2」の想定ユーザーは、建築設計事務所、建設業者・工務店から不動産業者、金融機関、企画開発業者まで多岐に渡る。
建設会社の営業担当者は、成約可否が不確定段階で設計者の手を煩わせることなく、「ROOK2」からの支援を受けながら集団規定などの建築法規をクリアした建築計画、概算見積もり、収支計算の一連の業務が行え、土地オーナーなどへの迅速な土地活用の提案、コンサルティングが実現する。
金融機関においても、顧客への土地活用プランの提案など新たなセールスツールとして活用できるし、より具体的には、設備投資案件の見積額の妥当性や用途制限などをクリアした建物かどうかを精査するツールとしても活用できる。
□マスターから住戸を配置し概算見積もり=予算計画(支出)+住戸ごとの賃貸計画(収入)まで作成□
《「ROOK2」機能概要》
◆敷地から建物を自動設計する機能
▽マスターの間口・奥行きのマトリックス表に基づき建築基準を考慮しながら住戸(ユニット)を配置・生成+不整形敷地への配置も強化
▽設計者向け機能として手動での住戸配置・編集・解析も装備。斜線・日影・天空率チェックが簡単に行え、詳細なプランニングで最大限の土地活用が提案可
▽条例データベース装備。首都圏59自治体のワンルーム形式マンションに関連する条例データを搭載し、条例をチェック。設計者の手間を大幅に削減
◆規制チェックに基づき容積率を算出
▽各種規制チェックを行い、単体・集団規定をクリアした建物ボリュームを算出。未消化容積の最大限活用で収支改善率の高い建物の提案が可
◆入力データから概算見積もり
▽自動生成された建物の形状を認識し、マスターに設定した坪単価、各種係数に基づき概算見積もりを算出
◆収支計画・事業計画書を作成
▽概算見積もりした工事費を支出とした「予算計画」+収入として自動生成した建物から住戸ごとに「賃貸計画」を行い、事業計画書を作成
▽収支計画では、リアルタイムで変更でき、瞬時に表面利回り・実質利回りまで計算可。
〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)