BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・72/樋口一希/名古屋城天守閣木造復元でVR映像体験  [2018年10月18日]

全体鳥瞰図・断面図解イメージ

天守閣3階の階段VR映像

 ユニークな発言で知られる名古屋市長の音頭取りで実現に向かって動き出した名古屋城天守閣の木造復元プロジェクト。完成後の姿が約2分半のVR映像によってリアルに体験できるイベント「名古屋城天守閣木造復元イメージVR映像体験」が11月30日まで開催されている。建築におけるVR技術の現在地を知るためにも有効な企画なので多くの方に参加されたい。 http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/301001/index.html

 □コードレスタイプ一体型VRゴーグルで臨場感あふれる360度の映像体験□

 現在の名古屋城天守閣は、太平洋戦争中の空襲で消失したものを基に戦後になって鉄筋コンクリート造で再現されたもの。地震での熊本城の崩壊などを契機に、現在の天守閣は老朽化や耐震性などの問題があることから建て替え機運が高まり、解体の後、22年には木造での復元工事が完了する予定となっている。
 イベント「名古屋城天守閣木造復元イメージVR映像体験」で使用されるVR映像は、名古屋城天守閣整備事業の公募型プロポーザルで選定された竹中工務店が制作している。VR映像体験で用いられるVRゴーグルは、BIM技術者の派遣・転職事業も行っているクリーク・アンド・リバー(東京都港区)が扱う「IDEALENS K2+」(米国IDEALENS社製)だ。
 「IDEALENS K2+」は、OSとバッテリーを本体に搭載、2560×1440ドットの高解像度を誇るディスプレイを備えた、パソコンやスマートフォンを必要としないコードレスタイプの一体型VRゴーグル。コードレスのために着脱しやすく、髪形も乱れにくい抜群の装着感で、高画質かつ臨場感あふれる360度の映像体験を実現している。今回の名古屋市など自治体での活用が増加しているほか、常設のアミューズメント施設や博物館、展示会、ビジネスホテル、教育研修の場などBtoB(企業向け)領域において多数の採用実績がある。

 □技術提案書には「設計施工一貫BIM対応組織の迅速な形成」とBIM導入のメリットを明記□

 VR映像の制作を担当した竹中工務店では、別途、名古屋城天守閣木造復元に関する技術的な要諦をまとめた「竹中工務店の技術提案書」をインターネットで公開している。
 同提案書はA3判横67ページからなるもので「設計施工一貫BIM対応組織の迅速な形成」にあるようにBIMを導入することのメリットが明記されており、城郭建築などの歴史的建造物の復元においてもBIMの有効性を明らかにするものともなっている。
 「精度の高いコスト管理」では、もの決めの見える化によるコスト合意としてモックアップ、BIMなどを積極活用した早期合意形成によりコスト抑制を図るとうたっている。「平成32年7月末竣工を実現する工程管理」では、BIMによるデジタルモックアップの活用を明記しており、施工計画や専門工事業者などの情報を川上の設計段階で取り込み、手戻りの無い工程とすること、フロントローディングによる確実な工程内竣工とBIM導入を明示している。
 設計領域では「短期設計スケジュールの実現」において、BIMを活用した仕様決定や可逆的に付加する設備・技術の検討、デジタルモックアップの作成などを行い、迅速な検討、承認を実現すると、BIMモデリングによる合意形成のあり方を明記している。
 施工・製造領域では、「施工品質-適正品質の確保」において、専門工事業者との二重管理による品質確保を図ることで、仕口の加工形状を数秒で再現する3次元モデルとともに、BIMの活用による合意形成と細部まで行き届いた製作図作成により、手戻りのない工程を実現-としている。
 ※竹中工務店の技術提案書
 http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/280330/dwl/takenaka.pdf
〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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