Arent(東京都中央区)は、鉄筋工事の配筋工数を最大で90%削減することを可能とする、BIMソフト「Revit」のアドインソフト「LightningBIM自動配筋」を開発した。 □柱や梁のファミリ内に鉄筋を自動配筋するなどで配筋に要する作業時間の90%削減を実現□ 「LightningBIM自動配筋」は、広く流通している一貫構造計算ソフトから生成される配筋情報とRUG(Revit User Group ※1)が提唱する仕様のファミリを用いて自動配筋や自動接続、干渉回避、パネルゾーンの納まり検討、納まり図の自動生成などを行う。 これまで人手に頼っていた3D鉄筋モデルの作成工程を、柱や梁のファミリ内に鉄筋を自動配筋↓ファミリ間の鉄筋を自動接続・自動定着↓干渉を自動回避-という工程に集約することで、配筋作業時間の90%削減を実現している。 ライセンス形態は、1年間のサブスクリプション(定額支払い制)を採用しており、価格は84万円(税別)でRevitの対応バージョンはRevit2020以降となっている。 (※1)RUG(Revit User Group)=オートデスク社のBIMソフト、Revitを中心としたBIMの実務的な活用を目指して活動し、その普及と展開に努める団体。 □業界初のインテリジェント配筋技術で設定されたルールに基づき自動的に配筋の干渉回避□ 配筋検討の工程を自動化し、作業の高速化を実現した「LightningBIM自動配筋」の革新的な技術を概説する。 これまでは、構造図などを見ながらRevitの標準機能を用いて人手で鉄筋を入力していたが、「LightningBIM自動配筋」では一貫構造計算ソフトから直接、Revit上の躯体に入力し、鉄筋モデルを自動生成できるので、配筋工数の90%削減を可能としている。 鉄筋の接続部や端部については、鉄筋1本ごとに検討、配筋を行っていたが、「LightningBIM自動配筋」では、鉄筋ごとにペア設定や端部設定を行うことで自動的かつ迅速に接続や曲げ定着を実現している。パネルゾーンの躯体のペア情報に基づき鉄筋を自動で接続するとともに、端部のフック定着なども自動的に反映させている。単なる自動配筋だけでなく、業界初のインテリジェント配筋技術によって、設定されたルールに基づき自動的に配筋の干渉回避を行っている。 □一貫構造計算プログラムの計算結果に基づく配筋の自動化で省力化と設計ミス根絶を実現□ 鉄筋工事へのBIM援用は、大手建設会社などを中心に複数の事例が報告されている。 スターツCAMは2021年1月に設計図書によらずにBIMモデルから鉄筋の加工データを作成してダイレクトに加工機に連携する技術を報告しているし、直近の3月には清水建設が土木工事で3D鉄筋モデルの構造細目に対する検討や配筋施工図の作図を自動化できるRevitのアドインソフトを開発、実装したと公表している。 これらの事例以前にも一貫構造計算ソフトのST-Bridge(※2)出力対応を含めて、鉄筋工事へのBIM援用の環境は整いつつあったが、実務面でBIMソフトに鉄筋モデルを入力する際には、構造図や鉄筋表などから人手で入力する方法が主流だった。 これまでも複雑な加工を伴う箇所の鉄筋同士の干渉回避や端部の曲げ定着と接続などの見える化は大きな効果を上げていたが、「LightningBIM自動配筋」は、こうした現状を刷新、一貫構造計算プログラムの計算結果に基づき配筋を自動的に行い、省力化と設計ミスの根絶を同時に実現する画期的なアドインソフトとなっている。 (※2)ST-Bridge=日本国内における建築構造分野での情報交換のための標準フォーマット。一貫構造計算ソフトでのBIM連携を行いやすくするために開発された。 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)