鹿島/自動化施工システムで盛り土作業の自動化実現、造成工事の生産性向上へ

2025年6月23日 技術・商品 [3面]

文字サイズ

 鹿島は20日、建設機械の自動運転システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」で土砂の積み込みから運搬、敷きならし、転圧まで一連の盛り土作業の自動化に成功したと発表した。ブルドーザーと振動ローラーに加え、新たにバックホウとアーティキュレートダンプトラックも自動運転できるようにした。ダム工事だけでなく造成工事も作業を自動化し生産性を高める。
 自動化したバックホウは車体に搭載したセンサーで周辺環境を認識する。材料山の形状も読み取り効率よく掘削できる。アーティキュレートダンプトラックの停車位置を認識し最適な量が積み込める。
 自動アーティキュレートダンプトラックは、機体の中央部で折れ曲がる構造を生かし、悪路の走行や小範囲での旋回に対応する。従来の経路生成技術に、中折れ式の機構が持つ後進操作を組み合わせ、施工箇所まで最短距離で材料を運搬する。
 神奈川県小田原市にある鹿島西湘実験フィールドで、盛り土作業の実証実験を行った。バックホウによる土砂の積み込みから、アーティキュレートダンプトラックでの運搬、荷下ろし作業までをすべて自動化。ブルドーザーの敷きならし、自動振動ローラーによる転圧も自動で完了し、全作業工程の自動化を実現した。
 実証結果を踏まえ、ブルドーザーと振動ローラーの機能もブラッシュアップした。自動ブルドーザーは、材料形状の認識や経路生成にAIを活用。階段やスロープ状の整形にも対応できる。自動振動ローラーも専用の作業計画システムを構築し、複雑な形状や狭いエリアでの作業に対応可能だ。
 鹿島はクワッドアクセルを適用する工種や作業を拡大し、社外を含め水平展開を目指す。採用事例を増やし自動運転の性能に磨きをかける。4月には日本国土開発が造成工事にクワッドアクセルを試行導入すると発表した。