飛島建設ら/新幹線トンネルの路盤鉄筋コンクリ施工を機械化、作業員数3分の1に

2025年6月26日 技術・商品 [3面]

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 飛島建設らは新幹線のトンネル工事で、路盤鉄筋コンクリートの打ち込みから締め固めまで一連の作業を機械化する新たな技術を開発した。打設作業に路鉄用ディストリビュータを使い、作業員数を従来の3分の1程度に減らしつつ、同等の施工量を確保できる。連続して打設できるポンプも導入し、コンクリートの品質を高める。既に北海道新幹線の2件の現場に導入した。
 北斗工業(神奈川県横須賀市、山口次郎社長)、山陽ウエス商会(山口県周南市、西村庸之社長)の2社と共同で開発した。路鉄用ディストリビュータとコンクリートポンプ、発電機を搭載した台車をユニット化し、けん引車で運搬する。坑内の狭いスペースで、RC構造物を連続的に施工できるようにした。
 路鉄用ディストリビュータは、狭い坑内で作業できるよう二つ折れ構造を採用した。リモコンで遠隔制御できるブームを搭載し、半径13メートルの範囲を打設できる。シュート部にはバイブレーターを備え、締め固め作業の効率も高める。
 バックホウとバケットによる打設作業と比べ、ポンプの圧送で連続打設できるため、コンクリートの品質を高められるメリットもある。狭い坑内で重機を運用せずに済むため、作業の安全も確保できる。
 飛島建設は同システムを北海道新幹線のニセコトンネル、立岩トンネル(豊津)の現場に導入している。ニセコトンネルでは作業員を従来の30人程度から10人に減らし、大幅な省人化を実現した。1時間当たりの打設量は約10立方メートルで、従来とほぼ同等の生産性を確保できることも確認した。
 同社によると導入コストは従来工法と「ほぼ同等」で、高い実用性が期待できるという。今後は施工実績を増やし、路盤鉄筋コンクリートの標準工法として定着を目指す。将来的にはブームの動きなどを検証し、作業全体を自動化する構想を描く。