海は広いな大きいな--。日本人の心に響く、聞きなじみのある童謡のワンフレーズだ。四方を海に囲まれた国土で生まれ育ったからこそ、長く大切に歌い継がれてきたのだろう▼海という漢字が、もともと「〓(さんずいに母)」だったことを知っている人は、意外と少ないのではないか。1947年に現在の字体に変わるまでは、「母」という字を使っていた。海がすべての生命の源であったことの表れといえる▼海は自由の象徴でもある。国際法によると、公海はすべての国に開放され、航行や飛行、一定の条件下での漁獲などが自由に行える。貿易量の99%以上を海上輸送が占める日本が発展してきたのは、海と深く関わってきたからにほかならない▼だが、世界の覇権を争う大国の思惑や傍若無人な振る舞いによって、さまざまな地域で海の自由と平和が脅かされてきた。日本近海では領海侵犯が頻発。直近では、世界の石油消費量の2割が通過するホルムズ海峡も封鎖された▼本来であれば、自由に行き来し、世界とつながる道でもある海。地球の母が与えてくれた人類共有の財産を守るためにも、過度な振る舞いは慎むべきであろう。






