新社長/三機工業・名古屋和宏氏/不変と進化、後世に残る仕事を

2026年4月2日 企業・経営 [1面]

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 グループ会社を含め約2600人の社員を率いて、創立101年目を歩み始める。三機工業の母体である三井物産から転じ、これまで中期経営計画(2025~27年度)の策定などに携わった。久しぶりの社外出身のトップとして、自社の強みを「初日に感じた人材の温かさ」と断言する。
 --就任の抱負を。
 「100年間積み上げた強みを継承する『不変』と、変化の早い時代に合わせた『進化』の両方を重視する。当社は皆が真面目に技術と顧客に誠実に向き合い、信頼を得てきた。一方、売上高の8割以上を建築設備事業が占める。外から来た人間として事業ポートフォリオを見た時、機械・環境システムなどの他事業は伸びしろがある。受け継がれてきた挑戦する気概を、社員にもう一度呼び起こしたい。当初は12人で始まったベンチャー企業だった。目の前の要望に精いっぱいにならず、新しい取り組みや新事業を諦めてはいけない」
 --事業戦略を。
 「売上高はもちろん大事だが、着実に利益を計上することを重視したい。お客さまに価値が認められることで利益として計上できる。風量測定ロボットのように自動化技術で効率を上げ、収益力を高めなければならない。ここ数年は建築工事が大型化し、一つの支店で回しきれなくなっている。人材確保へ4月から給与水準を引き上げ、転勤者の赴任一時金も増額した。若年層からシニア人材まで生き生きと働けるようにする」
 「受注戦略の基本は、従来の大切なお客さまをしっかりと守っていくことだ。同時に利益率が多少落ちても、国立代々木競技場のように、次世代のためにチャレンジングで『あの物件は当社がやった』と後世に残せる案件も取る必要がある。社員全体のモチベーションにつながる」
 --海外展開は。
 「国内人口が減るのは明らかで、海外拠点は中長期目線で上海とバンコク以外に広げる必要があるだろう。1月末にマレーシアの電気設備工事会社・ES Matrixグループの株式40%取得を発表した。相手は日本の上場企業の出資で信用を得やすくなるなど互いにメリットがある」
 --市場環境の見通しは。
 「足元の環境は引き続き好調だ。空調全般が好調だが1~2年前に比べると勢いは少し落ち着いた。業界全体では物価上昇分のコスト反映が浸透し、利益率は従来より高水準を維持している。下降局面はいつか訪れる。その時に備えて業務効率を高め、同業他社との競争に打ち勝てる部分を強くする必要がある。採用強化や仕事の仕方で供給力を増やさなければならない。変化の早い生成AIの活用も重要な経営のテーマだ」。
 (4月1日就任)
 (なごや・かずひろ)1991年東京大学工学部電子学科卒、三井物産入社。モビリティ第二本部参与などを歴任。2023年三機工業常任理事、24年執行役員、25年4月常務執行役員コーポレート本部長、同6月取締役を経て現職。仕事では相手の期待を上回る成果を意識する。フルマラソンを10回以上走ったランナー。栃木県出身、57歳。