回転窓/豊かな水が育んだ醸造文化

2026年5月7日 論説・コラム [1面]

文字サイズ

 江戸時代の百科事典とされる『和漢三才図会』に、酒が苦手な人や女性に人気のあった甘い酒のことが書かれている。どんな酒かお分かりだろうか▼それは「味淋(みりん)」。今でこそ料理の調味料に使われるのが一般的だが、かつては飲用として親しまれていたという。その起源については中国から伝わってきたとする説や、日本の九州などに古くから存在した甘い酒が発展したとの説があるようだ▼みりんの中でも、透明感があり上品な甘味とコクを特徴とする白みりんは、千葉県の北西部に位置する流山市が発祥。200年以上前に誕生したというから歴史は古い。ここで生まれたブランドは今も受け継がれている▼醸造元の創意工夫に加え、流山の地が江戸川の豊富な水に恵まれていたことも大きい。一大消費都市の江戸には川を使って運ばれた▼〈自然の甘味とコクで料理に深みをもたらし、てりと艶を加えて料理を美しく演出する〉(「流山市白みりんミュージアム」のリーフレットから)。そんな〈魔法の調味料〉と呼ばれるゆえんをたどれば、豊かな水と地の利もうまく生かした醸造文化の奥深さが見えてくる。

同一ジャンルの最新記事


2026年4月30日 [1面]

2026年4月28日 [1面]