この人に聞く/新日本空調執行役員技術本部長・渡邊美奈子氏

2026年5月13日 人事・動静 [3面]

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 ◇時代に取り残されないように
 大型現場の管理や技術者教育、認証取得などを担う技術本部を率いる。主に建築設備の設計畑を歩んできた。生え抜きの女性社員では初の執行役員。男女問わず働きやすい職場環境の整備にも力を入れる考えだ。
 --就任の抱負を。
 「副本部長を2年務め、経営側として会社全体を見る視点が養えた。会社をどう良くしていくか、事業部門に伝わるように出せる情報はどんどん開示するつもりだ。情報システム部門とも連携し、実働の人が本当に求めることをかなえるやりとりが、スムーズに進むようにしていく。生成AIの普及をはじめ、早過ぎる時代の波に取り残されないよう、現場の人たちがより良く働けるようにする」
 --生産性の向上策は。
 「建設業は取り扱う資料が多いが、同じ内容でも客先や現場、個人ごとに微妙に様式が異なることもあり、作業の属人化を招いていた。時間外労働に上限規制が掛かる時代に、そこは手間をかけるべきなのか。学会などで他社と情報交換すると、皆が同じような悩みを抱えており、協力していきたい。社内資料でも部署によって違う様式が残り、2026年度はデータ整理を進める。技術開発の方針は、技術本部長がトップを務めるイノベーション推進委員会で提案や意見を募り判断していく」
 --人材育成の方針は。
 「社員採用では高校生や文系の学生、実務経験を積んだ派遣社員から登用する場合も増えてきた。これまでより新人研修のスタートに差が出やすくなり、一律の座学は限界に来ている。研修方法を再考すべき過渡期にある。私が20代の時は友達から『そんな会社は辞めなよ』と言われるほど、残業が当たり前だった。当時に比べると、今の若い世代が経験を積めるスピード感は半分ほどだろう。上の世代が3年目までに積めた経験とのギャップを埋めるすべがあるのか。後輩からも質問されとても悩んでいる。デジタル技術で補助はできても経験には代えられない。技術本部だけではなく、計画的な人事異動などは他の部門とも十分に話さなければならない」
 --女性の活躍について。
 「社内の女性技術者数は元の採用が少ないため、全社比では1割未満だ。話し合う機会を設けており、不満を聞ける状態にはしている。以前、環境整備に関わってほしいと男性管理職に伝えたら、女性のことは女性に任せるべきだと思い込んでいたと驚かれた。女性であることを特別視されては困るが、女性管理職が増えれば意見を伝えやすくなり働きやすくなる場面がある。25年度の集まりでは育児休暇の経験がある男性も参加してもらった。男性同士も育児の話ができたと好評だった」。 (4月1日就任)
 (わたなべ・みなこ)1996年九州大学工学部建築学科卒、新日本空調入社。都市設計施設事業部設計部設三課長、リニューアル事業部設計部長、技術本部副本部長などを経て4月から現職。学生時代は少林寺拳法に打ち込んだ。座右の銘は「無為自然」。栃木県出身、52歳。