総合建設業の奈良建設(横浜市港北区、植本正太郎社長)は、来年3月に横浜市内で開幕する2027年国際園芸博覧会(花博)の横浜市出展に協賛する。市の屋内出展の一角で、同社のグループ企業であるアグリ王(横浜市港北区、徳丸義洋社長)が開発した環境に優しい循環型栽培システム「閉鎖型アクアポニックス」の水槽を展示。持続可能な農業の在り方を示すとともに、同システムの知名度向上を目指す。
アクアポニックスとは、魚の排せつ物を微生物が分解して硝酸を生み出し、それを栄養源として植物が成長するエコシステム。エネルギー効率が良く、化学肥料などを必要としない。連作障害が生じないといったメリットもある。
閉鎖型アクアポニックスシステムは、アグリ王が23年にアクポニ(横浜市中区、濱田健吾社長)と連携して開発した。アグリ王のLED植物工場のノウハウと、アクポニの専門性を掛け合わせた。一般的なシステムと異なり屋内で栽培が完結するため、気候や環境に左右されない点が強みだ。植物はレタスやハーブ、イチゴ、魚はテラピア、キャビアが採れるチョウザメなどを育成できる。
奈良建設は横浜市の「建物空間を活用した発信拠点」に協賛する。個人宅に配置できるサイズの水槽セットを展示する予定で、アグリ王が開発中。市が用意する端末で解説動画を流す。奈良建設広報マーケティングチームの山下瑞季氏は、閉鎖型アクアポニックスの課題を「知名度がないこと」だと指摘する。市出展では企業の宣伝活動はできないが、システムの認知度向上の好機と捉える。
アグリ王は、奈良建設のグループ企業として2010年に創立。LEDで植物を栽培する装置を販売・施工している。屋内かつ22~23度の適温環境で作業できることから、障がい者の就業を支援する社会福祉法人などに支持されてきた。栽培した野菜は市内のレストランに卸すほか、横浜ビールと連携して、ビール製造時の「モルトかす」を栽培に活用するなど、環境に配慮した事業を進めてきた。
10年代以降、ゼネコン各社が屋内栽培施設を施工・運営する潮流があったが、自動化、大量生産を可能とした大手企業との価格競争の末、縮小傾向にある。アグリ王は収益性の高い作物や、アクアポニックスシステムなど付加価値の高い事業へシフトし、収益性を高めたい考えだ。
1947年の創業以来、横浜に拠点を置く奈良建設。地元開催の花博への思い入れは強く、会場や周辺の造成工事も受注している。建設以外の「柱」を育てるために、花博は大きな弾みとなりそうだ。








