国・県の技術職採用苦戦/争奪戦に知恵絞る

2026年9月28日 行政・団体 [6面]

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 国家公務員の採用を担う人事院によると、一般職土木区分(大卒)の志願者は2022年度の1193人から、26年度は510人と4年で半分以下となった。民間企業の処遇改善が進んだことが主因とみられる。宮城県も25年度の通常枠で大卒の総合土木は30人程度の採用予定に対し、受験者は8人、合格者はゼロだった(早期枠では19人が合格)。学生の意識として転勤を忌避する傾向が強まる中、出先事務所への異動があり得る国や県は技術職員の採用に頭を悩ませる。技術人材の争奪戦に発注機関は知恵を絞る。
 人事院は25年度から一般職大卒程度の採用枠に「教養区分」を新設した。技術職員の確保が難航する中、土木など専門知識を勉強していない学生でも技術職として働くことができる仕組みだ(事務職との選択可)。大学3年生から受験でき、マークシートと論文、面接で試験するため専門試験対策が不要。東北地方整備局で25年度に教養区分から技術職で採用された職員はいなかったが、26年度は希望する学生が官庁訪問に来ており志願に期待する。担当者は「専門知識を身に付けてもらう教育プログラムをしっかり考える」と準備を万全にする。
 岩手県は26年度の試験から、総合土木と建築の区分を対象に、短期大学や高等専門学校の卒業生をターゲットとする新たな採用枠(II種)を新設した。今までは短大や高専を卒業しても高校卒業程度と同じ区分での採用となるため、待遇面で不満が生じやすかった仕組みを改善する。大学卒業程度(I種)と高校卒業程度(III種)の中間に位置付ける。
 ここ数年で多くの自治体が取り入れているのが採用試験を年に複数回実施する分散化だ。山形県の担当者は「この秋から大学3年生が受験できる制度を導入した。通常は4年生の春に試験を行っていたが民間企業に後れを取っていたことから、早い段階で就職先として考えてもらえれば」と狙いを説明する。併せて専門試験を廃止し、民間企業と同じSPI試験を採用する県も増えた。技術的な知識は面接試験で担保することで、受験すること自体のハードルを下げている。
 インターンシップの受け入れ体制も各県が見直している。岩手県は2カ月以上の長期にわたって週に1日程度以上受け入れる取り組みを導入。宮城県は22年度から、学生らを対象とした会計年度任用職員の制度を創設。有償インターンといえる仕組みで、事務補助作業など実際の仕事内容に近い勤務経験を積んでもらい、採用後のミスマッチを防ぐ。
 福島県は今年、若手技術職員の有志らによるリクルートチームを立ち上げた。各大学が開く就職説明会に事務職員と同行し、学生の質問に答える。大学側からも「年齢が近い技術職員が話すことで、学生が近い将来の自分をイメージしやすい」と好評だ。学生に敬遠されがちな転勤については「さまざまな地域を知ることができて面白い」と前向きにとらえ、魅力として伝えている。
 入職者の裾野を広げるため、青森県は昨年度に県土整備部の仕事を紹介するプラットフォームとして「Aomoriインフラアカデミー」を開設した。従来は各担当課がそれぞれ実施していた現場見学会などの活動を体系化。ご当地アイドル・りんご娘ともコラボし、小学生から大学生までをターゲットに、インフラの魅力を幅広く伝える。
 東北整備局の担当者は、採用活動を通じ、学生は仕事内容より一緒に働く職員がどんな人たちかを重視していると感じ取った。そこで実際の職員をモデルに使用したポスターを製作。誇りを持って仕事に向き合う人物を大きくレイアウトすることで学生の感性に訴えようと試みる。