土木構造物の設計や地質調査など公共事業で培った技術力を強みに、民間事業の参入、拡大を目指す。7月に始動した3カ年中期経営計画では2029年6月期の連結売上高を425億円(26年6月期380億円)に設定。コア事業を堅実に成長させながら成長事業の拡大、新規事業への参入を図る。事業拡大を通じ持続的に成長するホールディングス(HD)体制を描く。
--経営の課題は。
「前期に事業会社がコンプライアンス違反を起こし、すべてのステークホルダーに心配と迷惑をかけた。失われた信頼の回復が第一の使命だ。社外取締役を増員するなど、グループを挙げてガバナンスを強化する。設計照査の体制を整備してきたが、それでも橋梁設計でミスが起こった。抜け目のない照査体制を築き業務の精度を高めていく」
--事業環境をどう見る。
「公共事業の発注量は大幅な増加が見込めず、競争が激しくなるだろう。リスク分散の観点から民間事業を公共事業に次ぐ、もう一つの柱に育てる。調査から設計・維持管理まで対応できる総合建設コンサルタントの強みを生かし、売上高の民間比率を現状の3割弱から4割まで引き上げる。36年までの長期ビジョンに掲げた目標だが、より早く達成したい」
「民間分野は原子力発電所や新エネルギー施設の調査・設計を成長事業に据える。中でも過去に文献調査を受注した高レベル放射性廃棄物の地層処分関連事業は、施工までを含めると1世紀以上かかる大規模事業となる。事業会社では半世紀前から原子力発電所の地質調査などに関わってきた。何としても参画し100年続く仕事を確保する」
--コア事業の構造設計分野の戦略は。
「鋼構造の橋梁設計では業界トップクラスの売り上げを誇り、今後もこの地位を維持したい。国内は大規模な新設橋梁の案件数が限られるため、点検や維持管理、補修に照準を合わせる。新設の橋梁関連業務は海外に目を向ける。事業会社の海外事業部などを通じた受注活動とHD内での技術継承に力を注ぐ。フィリピンではマニラ事務所を現地法人化する準備に入った。培った技術力を次世代につなぐためにも技術者が海外で経験を積む必要がある」
--AI活用の考えを。
「過去の業務提案書を学習させ、資料作成の補助に活用している。現状のAIが出す成果品は一定レベルには達するが、提案採用の決め手になる『もう一工夫』が足りない。熟練の技術者が持つ暗黙知や顧客との対話を通じた提案は人間ならではのもの。AIの効率性と人の知見を融合して、新たな価値を創造し提供したい」。
(9月29日就任)
(よしむら・みよし)1982年千葉大学理学部卒、ダイヤコンサルタント(現大日本ダイヤコンサルタント)入社。2013年執行役員、17年取締役を経て21年DNホールディングス取締役。千葉県出身、69歳。期日より前に仕事を終わらせ、相手を待たせないことを信条とする。趣味は農園での野菜作りとキャンピングカーでの旅行。








