国交省が研究委/公共事業、将来価値重視の評価手法へ/社会的割引率見直し検討

2026年10月8日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、公共事業の評価手法として多様な効果を反映させた総合的な評価プロセスの体系化や、費用便益比(B/C)に用いる社会的割引率の見直しに向けた検討に入った。外部有識者で構成する「公共事業評価手法研究委員会」で議論し、今冬までに一定の結論を出す。災害多発や老朽化の進展を背景に「インフラの将来の価値、長期的な効果」を重視することに理解が広がっている社会状況から、総合的な評価の拡充や社会的割引率の柔軟な見直しに賛同する意見が大勢を占める。
 政府が7月決定した「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太方針)を踏まえ、国交省直轄事業での対応を検討する。骨太方針ではB/Cなどに過度に依拠しない総合的な評価手法への見直しと、社会的割引率の見直しの二つの方針が記載された。
 直轄事業で用いる評価様式(カルテ)の内容を充実させ、総合評価手法を改善する考え。
 7日に開かれた同委員会で国交省が示した案によると、評価の前段として地域などで抱える課題や解決方策を記載する欄を追加。貨幣換算が困難な多様な効果を評価するため道路事業のカルテで用いている3段階の改善度の評価を、他事業にも水平展開する。評価主体となる有識者会議の委員長名で結果を記述する欄も設ける。
 社会的割引率は将来の便益、費用を現在に価値換算する指標で、高いほど将来の価値が目減りする。2004年当時の10年物国債の実質利回りなどを参考に設定された「4%」が一度も見直されていない。
 会合では「長期的な価値を評価できるよう低めに設定すべきだ」といった意見があった。数年単位で定期的に検証・見直しを行うことを提案する委員もいた。見直しの判断に用いる指標や考え方の整備も検討課題となる。
 国交省は事業評価制度の根本的な在り方の検討も論点として提示した。インフラ老朽化からマネジメントの重要性が指摘される中、新規整備事業を念頭に制度設計された面がある現行制度から、既存施設の機能改善にも対応した評価制度に発展させる必要性を指摘した。委員からは事業評価に対応する現場の負担を考慮したシンプルな評価の在り方を求める声もあった。