横浜支社新年企画

2017年1月10日 特集

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 昨年12月にカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法案が成立した。観光立国を目指す日本にとって、海外からの誘客の切り札と期待する声も高い。横浜市は13年12月に同法案が提出されてからIRの誘致に積極的な姿勢を示してきた。昨年の12月14日には林文子横浜市長が「都心臨海部活性化と観光MICE推進に有効な手法」とあらためて評価。「状況を見極めながら地元経済界と連携して導入に向けた検討を進める」と前向きなコメントをしている。また法案成立を受けて地元経済界もいち早く反応。横浜商工会議所は市内にIRを誘致できた場合の経済波及効果を6000億円前後と試算しており、横浜経済活性化の起爆剤と「全面的に歓迎する」意向だ。林市長は誘致への立候補を正式に表明するとしても来年度以降としているが、大阪市や長崎県佐世保市など複数自治体も誘致への動きを見せていることから、市民への説明など早急な対応が待たれるところだ。市は現時点で候補地を「都心臨海部」と広範囲で提示しているが、再開発計画がある山下ふ頭(中区)が有力視されている。倉庫など地区内の事業者の移転交渉も順調で、市の開発計画にある滞在型リゾートやエンターテインメント施設などを備えた「ハーバーリゾート」創出に向けた動きは着々と進められている。東京オリンピックが開かれる20年には一部供用開始、25年以降の全体完成を目指している。横浜は日帰り観光が多く、インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加という外需を取り込めていないと指摘されている。カジノを含むIRを核にホテルや商業施設をさらに集積し、羽田空港からの好アクセスを生かしてMM21地区や横浜駅周辺地区など都心臨海部の再開発に弾みをつけたい考えだ。