BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・151/樋口一希/NTTファシリのBIM-FM連携・3  [2017年2月23日]

タブレットを使って管理業務を実行

 実証実験型オフィス・新大橋ビル(東京都江東区新大橋)におけるBIM-FM連携を通して実践的なノウハウを手にしたNTTファシリティーズの「次への展開」を検証する。


 □BIM-FM連携によって建物がデジタル化されるに従って高まるIoTとの親和性□


 取材が終わり退席しようとすると引き止められた。スマホが入退出時の承認鍵にもなっており、不所持(非承認)者は会議室から出られず、エレベータにも乗れない。管理サーバーがスマホをセンシング対象として常時、捕捉しているわけだ。スマホの普及でIoT(Internet of Things)との連動も急速に進んでいる。スマホの生みの親でもあるジョブズ氏はこのような状況を想定していたのだろうか。

 BIM-FM連携によって建物全体がデジタル化されるに従い、IoTとの親和性は高まっている。至る所に設置されたIoT機器経由で、クラウドサーバーにはリアルタイムで膨大な情報が集まる。

 クラウドサーバーが単なる巨大なストレージと異なるのは、最新情報で上書きするだけでなく、リアルタイムで情報を次々と蓄積し、経時的な変動も包含するビックデータ化できることだ。パラダイムシフトは分野横断的、複合的、同時多発的に生起している。


 □スタティック(静的)でなくダイナミック(動的)なFM業務で管理コストを大幅削減□


 『BIM-FM連携による建物のデジタル化+IoT+クラウドサーバー+ビックデータ』状況の進展を広く「見える化」するため、NTTファシリティーズは、16年12月14~16日開催の「スマートビルディングEXPO」に出展した。

 展示ブース内の疑似オフィスに設置された温度、人感、照明など合計22のセンサーから収集された情報は、リアルタイムでBIMモデルと紐付け統合され、モニタリングできる。ディスプレイ上に可視化されたBIMモデルから空調器具を選択すると、現在の稼働状況とともに、過去に遡った経時的な稼働実態、取り付け時+推定寿命など、BIMモデルが包含するさまざまな属性情報が視認できる。

 建物管理のために建築費を大幅に上回るコストが必要なのは共通認識となった。従来のスタティック(静的)なFM業務でなく、BIM-FM連携による建物のデジタル化とIoT技術を組み合わせたダイナミック(動的)なFM業務によって管理コストの大幅な削減も可能になるはずだ。


 □タブレットを用いて管理対象箇所の機器・図面などを同時に視認しながら現場作業を実行□


 NTTファシリティーズでは、新大橋ビルでのBIM-FM連携によって構築した「建物維持管理システム」をオートデスク社のクラウドサービス「BIM 360」上で運用している。BIM 360は大別すると「BIM 360 Field」「BIM 360 Glue」「BIM 360 API」から構成される。BIM 360の詳細は別稿に譲るとして、ここでは本事例に即して概説する。

 BIM 360 Fieldは、さまざまなフィールド(部署、組織、関係者)に展開している情報を一元管理するデータベースで、それら情報をデバイスに依存せず表示する機能、図面などに赤字マークアップする機能、チェックリストなどの共通テンプレート、タスク管理機能、関係者間をつなぐコミュニケーション・ツールなどがあらかじめ用意されている。「建物維持管理システム」もBIM 360 Fieldの基本機能を利活用している。

 連絡ツールで管理部署に作業内容を通知すると、担当者は、対象箇所の機器類のモデル、図面などをタブレット表示し、現場で作業を行う。完了報告すれば履歴としてデータベースに保存され、全関係者間で情報共有するわけだ。

 『BIM-FM連携による建物のデジタル化+IoT+クラウドサーバー+ビックデータ』状況に対応するべくNTTファシリティーズが進める挑戦を今後も追跡していく。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週火・木曜日掲載)

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