BIMのその先を目指して・62/樋口一希/BIMデータ共有・活用ソリューション

2018年7月26日 トップニュース

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 日立ソリューションズでは、専用ソフトを用いることなく、BIMモデルを3次元ビューアで参照、関連する情報と合わせて共有・活用できる「活文 BIMデータ共有・活用ソリューション」の販売を7月31日から開始する。BIMソフトの普及が加速化し、関係者間でのデータの一元的な運用が求められる状況下、各方面から注目を集めている。

 □BIMで作成された膨大な建物モデル=3次元データを独自の「XVL技術」で軽量化して運用□

 「施工BIMのスタイル事例集2018」(日本建設業連合会)編さんに参画したゼネコンなどによる事例発表会が7月20日に開催された。BIMのモデル合意の有効性が語られる中で、大容量化するデータへの対策としてネットワークの高速化、強力なCPU導入の必要性などの課題も顕在化した。事例発表会の最中に、IT推進部会BIM専門部会主査の福士正洋氏(大林組)がタイムリーにFacebookに発信して「活文 BIMデータ共有・活用ソリューション」を知るところとなった。
 「活文 BIMデータ共有・活用ソリューション」では、主にトヨタ自動車などの製造業を対象に3次元データ活用のソリューションを提供しているラティス・テクノロジーが開発したXVL(eXtensible Virtual world description Language)技術を採用している。XVL技術はBIMによる建物モデルが内包する〔形態情報:Modeling〕と〔属性情報:I=Information〕を、独自開発の〔構成情報〕により紐(ひも)付けしたまま、画面表示時に〔形態〕のみを約1/100にまで軽量化表示するのに成功している。

 □3次元ビューアは無償提供+データ互換の標準フォーマットのIFC形式のデータを対象□

 BIM導入に際しては、BIMソフトや専門技術者が必要になるのに加えて、関係者間でのBIMデータの共有手段も課題となり、特にデータの大容量化がボトルネックとなりつつあった。日立ソリューションズでは、プロジェクト関係者がBIMデータを容易に3次元ビューアで参照でき、変更履歴や課題を共有できるシステムとして本ソリューションを提供するに至った。
 具体的にプロジェクト関係者は、GBサイズにもなる大容量のBIMデータを多重化通信技術によって共有サーバーに高速で転送でき、3次元ビューアでBIMデータを参照できる。
 ラティス・テクノロジーが開発した超軽量3次元フォーマット技術「XVL」を採用している3次元ビューアは無償で提供され、BIMソフト間でのデータ互換時の標準フォーマットとされるIFC(Industry Foundation Classes)形式のデータを対象としている。

 □BIMデータを検証結果の課題と紐付けて共有し迅速な修正を実現することで生産性を向上□

 プロジェクト関係者は、BIMデータの形状の整合性や干渉チェックの結果などを共有することで、相互にフィードバックされた情報を基にBIMデータを迅速に修正して最新のBIMデータに反映できる。更新後のBIMデータは自動的に履歴管理されるので、誰がいつどのように変更したかの履歴とともに、時系列で遡っても、後から確認することが可能となる。
 それらの機能によって、最新のBIMデータを関係者間で共有しながら、問題点などを認識することでリアルタイムに対策の進捗(しんちょく)状況を確認、対策漏れを防止するなど早期の合意形成や課題解決が可能となる。加えて検証後に関係者が個々のBIMデータを修正する際には統合時のBIMデータを明確にできるため、手戻り作業を低減でき、建築プロジェクトの生産性向上を支援できる。
 「活文 BIMデータ共有・活用ソリューション」は、組織や国境を越えたコミュニケーションをサポートしながら、プロジェクトに関する社内・社外の情報を一元管理する企業間情報共有システム「活文 Managed Information Exchange」の採用が前提となっている。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)