BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・66/樋口一希/清水建設のZEBビジュアライザー  [2018年8月30日]

ZEB Visualizerのシステム構成

清水建設では、BIMやCAD図面をベースとする建物3次元モデルを活用してZEB(Net Zero Energy Building)の省エネルギー性能を効率的にシミュレーションするコンピュテーショナル・デザインツール「ZEB Visualizer」を開発し実用化した。

 □建築の性能が省エネからゼロエネへと進化する中で関係組織間で対応技術の開発を積極化□

 ZEBとは、1次エネルギー消費量を建築構造や設備の省エネルギー、再生可能エネルギー・未利用エネルギーの活用、地域内でのエネルギーの面的(相互)対策を組み合わせることで削減し、年間消費量をネット(正味)でゼロまたはおおむねゼロを達成する建築物。政府が14年4月に閣議決定した第4次エネルギー基本計画では、建築物については20年までに新築公共建築物などで、30年までに新築建築物での平均でZEBを目指すとする政策目標が明記された。建築に求められる性能が省エネからゼロエネへと進化する中で、ゼネコン各社、建材メーカー、ソフトウエアメーカーなどが対応技術の開発を積極化させている。
 「ZEB Visualizer」では、建物3次元モデルを有効利用することで設計の初期段階でZEBの性能評価指標を迅速に算出できるようになり、複数のデザイン案を繰り返しシミュレーションしながらZEB提案の最適化が可能となる。

 □建物内の全室単位で床面積や設置設備機器など実施設計レベルの詳細な条件の入力が必須□

 ZEBの性能は、国が定める建築物のエネルギー消費性能基準に基づいて評価され、基準建築物と設計建築物の1次エネルギー消費量の比率を示すBEI(Building Energy Index)が0・5以下の場合にZEBが達成されたと判定される。
 BEI算出時には、国立研究開発法人建築研究所が提供する計算支援プログラム(WEBプログラム)を使用するが、その際には建物内の全ての室単位で床面積や設置設備機器など実施設計レベルの詳細な条件入力が求められる。そのため従来は設計の初期段階でZEBの性能を定量的に評価するのが困難であった。
 「ZEB Visualizer」は、設計の初期段階の建築デザイン案からシミュレーション用3次元モデルを迅速に構築する3次元モデラーと省エネ設計のノウハウを集約した設計ライブラリから構成される。ライブラリには、建物用途別の外壁・屋根等の部材仕様、室用途別の空調・換気・照明・給湯設備、省エネルギー基準に準拠した建材や窓ガラスの物性データなどが整備されている。

 □3次元建物モデルからBEI算出に用いる入力データが自動生成され短時間でBEI値を算出□

 シミュレーションの手順では、設計者はBIMやCAD図面の設計データを3次元モデラーに入力し、計画建物の3次元モデルを立ち上げる。3次元建物モデルに対してはライブラリデータから外壁・屋根・床等の部位、部位に対応する部材や方位、室用途ごとにデフォルト設定された空調・換気・照明・給湯設備の仕様が自動設定される。設計者はこの初期仕様に基づき設備機器の仕様などを逐次、変更することで計画案のシミュレーションを実施する。
 計画案の省エネ性能を評価する際には、3次元建物モデルのデータからBEI算出に用いるWEBプログラム用の入力データが自動生成されるため、短時間でBEI値を算出できる。BEIの計算結果からはZEBチャートが自動作成されるのでZEBの達成度合いが容易に確認できる。今後はZEB化を目指す建物の提案検討に「ZEB Visualizer」を活用し、建築主のニーズに合致する最適なZEBの提供とともに設計業務の生産性向上を図っていく。
  〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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