BIMのその先を目指して・68/樋口一希/BIMのその先を俯瞰するイベント情報

2018年9月20日 トップニュース

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 オートデスクは「Autodesk University Japan 2018」を8月31日(東京)、グラフィソフトは「GRAPHISOFT JAPAN BIM CONFERENCE 2018」を9月4日(東京)、7日(大阪)に開催した。10月16~19日にはbuildingSMART International(※)主催の「International Standards Summit,Tokyo」が開催される。今後に向けた取材先探索を通して2019年以降の「BIMのその先」を俯瞰する。
※buildingSMART International(bSI)=ロンドンに本部を置く世界的なBIM標準化機関でbSJ(旧IAI)は日本支部。

□「Autodesk University Japan」:昨年より参加者が増えて女性も目立つなど活況を呈した会場□

 「BIMのトップランナー外伝 ここでしか聞けないホンネトークシリーズ3」。大林組の森泰志氏は、組織横断的にBIMを語り合う会合を運営、BIMを使う技術者だけでなく、誰もがBIMに触れられるような開かれた環境づくりを行っていると語った。久米設計の古川知之氏は、BIMを運用する以外の設計者が使い慣れているエクセルからBIMのI=Informationにアクセスする環境整備について語った。NON-BIMユーザーを取り込むための興味深い手法であった。
 「ARおよびDynamoによる構造物維持管理業務効率化」。日本工営の倉橋哲弘氏がBIMによる既存建物の3次元モデルをARと組み合わせて定期検査箇所などの管理業務を効率化する手法を公開した。
 「BIMにおける高精彩VRコンテンツ制作の自動化・高度化」。パナソニックの高島深志氏が独自開発した照明シミュレーションソフトを紹介するとともに、3次元モデルを建築のプレゼンテーションに用いるARコンテンツに援用する手法について報告した。

□「GRAPHISOFT JAPAN BIM CONFERENCE」:新バージョン「ARCHICAD 22」の内容も披露□

 ハンガリー本社CEOのViktor Varkonyi氏が登壇、OPEN BIMに基づきユーザー本位のBIM開発を継続することを表明し、18年のプリツカー賞受賞者であるインドの建築家Balkrishna Doshi氏が「ARCHICAD」の長年にわたるユーザーだと明らかにした。
 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの田中洋平氏と積木製作の竹内一生氏は、「Unity BIM Importer」においてBIMの3次元モデルをUnity BIM Importerというプログラムによって直接、Unityに取り込み、ゲーム開発環境に依拠したさまざまなエフェクトが比較的安価に利用できることを報告した。
 U’sFactoryの上嶋泰史氏は、「Point Cloud(点群)情報のBIM活用」において既存建物や都市空間などを点群データ化し、それをBIMソフトに取り込んで運用する事例を報告した。
 新バージョン「ARCHICAD 22」も披露された。モジュール化された部品と階層化されたパターンを使ってカーテンウォールを設計できるようにファサードのデザイン機能が強化された。「ふかし」についてもパラメトリックデザインとグラフィカルな断面形状作成の手法によって自由度の高い表現を可能にした。属性(プロパティ)を付与する機能も強化され、数式を属性として付与できるようになった。

□「International Standards Summit,Tokyo」:10月16~19日に内外のキーパーソンが一挙参集□

 海外開催が中心であったbSIのサミットが初めて東京で開催される。初日の全体会議ではopenBIMの標準化について最新動向や国内のBIM/CIMへの取り組みなどが発表される。2~3日目はコンストラクション・ルームなど複数のテーマに分かれてワークショップが開催され、BIMの課題や国内外の動向が議論される。4日目午前中は3日目までを総括する全体会議でワークショップのまとめや今後の計画が公表される。
 4日目午後は国内向けイベント「openBIM Japan」が開催され、世界のBIMリーダーの講演、国内BIM/CIMの事例などについて講演が行われる。4日目には協賛企業のブースも設置される。
 https://www.building-smart.or.jp/bsis-tokyo/
〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)